AMED橋渡し研究プログラム シーズBに採択されました 「iPS細胞由来血小板凍結乾燥製剤の実用化に向けた開発」
更新日 2026.6.24
このたび、千葉大学整形外科が京都大学との共同研究として推進している「iPS細胞由来血小板凍結乾燥製剤の実用化に向けた開発」が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)令和8-10年度「橋渡し研究プログラム」シーズBに採択されました。
(https://www.amed.go.jp/koubo/03007/01/C_00001.html)
本研究は、千葉大学整形外科を中心に、京都大学、千葉大学イノベーション再生医学、千葉大学形成外科など、iPS細胞研究、再生医療、組織修復、骨再生、創傷治癒、臨床応用に関わる複数の研究グループが連携して進めている、産学連携・臨床実装志向の研究開発です。
AMED橋渡し研究プログラムは、アカデミア等で生まれた優れた基礎研究成果を、臨床研究・治験・実用化へと効率的につなげることを目的とした研究開発支援事業です。なかでもシーズBは、臨床応用を見据えた非臨床POC(Proof of Concept:有効性・安全性等の実証)取得を目指す段階に位置づけられており、将来的な治験開始および医療現場への実装に向けた重要なステップとなります。
本研究で開発を進めるiPS細胞由来 巨核球・血小板凍結乾燥製剤:FD-iMPは、iPS細胞由来の巨核球・血小板成分を含む凍結乾燥製剤です。これまでに、脊椎固定術・難治性骨折、変形性膝関節症、難治性潰瘍等を主なターゲットとして、骨形成促進作用、血管新生促進作用、組織修復促進作用、炎症制御作用など、多面的な生物活性を有する可能性を検討してきました。
FD-iMPの大きな特徴は、生細胞そのものを移植する治療ではなく、iPS細胞由来の巨核球・血小板系成分を凍結乾燥製剤として標準化し、必要時に再溶解して局所投与することを目指している点です。これにより、従来の自己血由来製剤で課題となっていた個体差や調製のばらつきを抑え、保存性・輸送性・品質管理性に優れた、オフ・ザ・シェルフ型の新規骨再生・組織修復製剤としての展開が期待されます。
今回のシーズB採択を受け、今後は、臨床応用を見据えた製剤規格、品質評価、安定性評価、安全性評価、非臨床有効性評価をさらに進め、治験開始に必要なデータパッケージの構築を目指します。特に、製造工程の再現性、GMPを見据えた製造・供給体制、品質管理指標の確立、薬事戦略の具体化を一体的に進めることで、アカデミア発シーズの社会実装を加速してまいります。
整形外科領域では、高齢化に伴い脊椎固定術、骨折治療、偽関節治療などの需要が増加しており、骨癒合不全や再手術は患者さんの生活の質を大きく低下させる重要な課題です。本製剤は、骨癒合促進を起点としながら、千葉大学イノベーション再生医学および形成外科との連携により、将来的には変形性関節症、創傷治癒、難治性潰瘍など、組織修復を必要とする幅広い疾患領域への応用可能性も視野に入れています。
本研究では、京都大学のiPS細胞・巨核球・血小板研究に関する知見と、千葉大学整形外科における骨再生・脊椎外科・運動器疾患の臨床的ニーズ、千葉大学イノベーション再生医学における再生医療研究基盤、千葉大学形成外科における創傷治癒・組織修復研究の知見を融合し、基礎研究から臨床応用までを一貫して推進していきます。
千葉大学整形外科では、京都大学および千葉大学内の関連診療科・研究部門と連携し、基礎研究の成果を患者さんに届く医療へとつなげることを目標に、産学連携による実用化研究を積極的に推進してまいります。今後は、製造、品質管理、薬事開発、臨床開発、事業化を見据え、本研究の社会実装に資する企業・研究機関との連携を発展させながら、新規骨再生・組織修復製剤の実用化を目指してまいります。


