パフォーミングアーツ医学(PAM)
更新日 2022.8.22
グループ紹介
千葉大学医学部附属病院整形外科にて、2018年9月より『パフォーミングアーツ医学外来(PAM外来)』を始めさせていただきました。パフォーミングアーツ医学(Performing Arts Medicine; PAM)とは、 音楽家、ダンサー、俳優等のパフォーミングアーティストに関わる身体的・心理的問題を扱う医学です。1980年代頃より欧米を中心に発展してきた、新しい医学分野のひとつです。
当外来では現在、音楽家の患者さんの上肢の痛みやしびれ、動かしにくさを中心に診療を行っています。無理な演奏のしすぎなどによるOveruse(使いすぎ)/ Misuse(誤用)症候群や腱鞘炎から、演奏と直接の関係がなくても発生する病気や突然のけがまで、幅広く対応いたします。なお上肢以外の整形外科疾患については、当整形外科の他グループの医師と協力、連携して診療を行います。
【診療日時】
- 受診には紹介状が必要です
- 毎週月曜が診療日となります
- 初めて当外来を受診される方は、午前8時半~10時半までに事務受付を済ませてください
- 演奏家の方は、可能であれば当日楽器をご持参ください
実際の演奏状況を診察させていただきます
【診療対象】
- 音楽家の上肢の痛みやしびれ、動きにくさ
(例)バネ指、腱鞘炎、変形性関節症、絞扼性神経障害(胸郭出口症候群、肘部管症候群、手根管症候群)、デュピュイトラン拘縮、関節リウマチ、ガングリオン等の腫瘍、Overuse(使い過ぎ)/ Misuse(誤用)症候群等
- ダンサーの下肢の痛み、変形、けが
(例)前/後十字靭帯損傷、半月板損傷、外反母趾、アキレス腱付着部症、三角骨障害、疲労骨折等
【診療方針】
- 診療は金塚彩(手外科グループ)が担当いたします。患者さんのパフォーマンスに関する背景や文化、専門用語を理解した上で、楽器や演奏スタイルの特性に寄り添った診療を行います
- Overuse(使い過ぎ)/ Misuse(誤用)症候群では、楽器の調整や装具の作成が必要になることがあります
- 大学手外科グループの他の医師が主治医となり、PAMの専門家として金塚が併診することがあります
- 上肢以外の疾患については、当整形外科のスポーツ・下肢(膝関節、足部・足関節)グループや他科の医師に紹介し、ご協力をいただいて包括的な医療を実践してまいります
スタッフ
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- 金塚 彩手外科, 臨床研究開発推進センター
- Aya Kanazuka, M.D., Ph.D., PGDip with distinction
- 経歴
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2002年 長谷川加齢学奨学金受賞 デンマーク オーデンセ留学
2005年 International Federation of Medical Students’ Association (IFMSA) Exchange Programme, オーストリア ウィーン国立大学病院(AKH) Clinical Clerkship
2007年 千葉大学医学部卒業
2009年 千葉大学整形外科入局
2014-2016年 千葉大学医学部医学研究院環境生命医学 特任助教
2016年 ドイツ ベルリン・シャリテ医科大学 Kurt-Singer-Institute for Music physiology and Musician’s health (KSI) 短期留学
2017年 千葉大学大学院修了 医学博士(Ph.D.)
2017-2018年 イギリス 大学院留学 University College London (UCL) , Performing Arts Medicine学科修了(日本人初)(PGDip with Distinction)
https://www.iseh.co.uk/consultantdetails/ucl-masters-courses/1140/Aya–Kanazuka
2018-2019年 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 審査専門員
2020年- 千葉大学整形外科 手外科グループ
千葉大学医学部附属病院 臨床研究開発推進センター 特任助教
- 資格等
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日本整形外科学会専門医
日本手外科学会会員
日本肘関節学会会員
日本リハビリテーション医学会会員
Performing Arts Medicine Association (PAMA) Certificate, Essentials of PAM
ARTQ institute Certificate, Basic Aromatherapy - 受賞歴
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2016年 花王芸術科学財団 音楽研究助成受賞
2016年 千葉大学国際交流事業 若手教職員・研究者の海外渡航支援プログラム受賞
2016年 千葉大学シャリテ医科大学学術的国際交流調印式典(ベルリン)にてバイオリン演奏
2017年 吉田育英会日本人派遣留学プログラム受賞
2017年 経団連国際教育交流財団 東京倶楽部奨学生採用(辞退)
2018年 英国ギルドホール音楽院ピアノ科にて招待講演 “Hand Injuries in Pianists – anatomy, pathology, prevention”
2022年 Rohm Music Foundation 音楽の研究助成2022年 文部科学省 ウィズコロナ時代の新たな医療に対応できる医療人材養成事業
- 現在の研究
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- 正中神経反回枝の解剖学的特徴に関する研究
音楽家のけがの予防と治療成績、早期演奏リハビリテーション
音楽教育機関における身体のしくみとけがの予防に関する教育
3D Motion Capture Systemを用いた演奏動作解析
エコーを併用したパフォーミングアーツ医学検診:音楽家の上肢機能障害の実態調査(科研費2022-2025年)
- 正中神経反回枝の解剖学的特徴に関する研究
- 業績一覧