日本整形外科学会副理事長就任のご挨拶

更新日 2025.6.29

日本整形外科学会 副理事長
北千葉整形外科 理事長 寺門 淳

 このたび私、寺門淳は令和7年5月付けで公益社団法人日本整形外科学会の副理事長を拝命いたしました。伝統と重みある職責をお預かりすることとなり、身の引き締まる思いでございます。千葉大学整形外科同門の一員として培ってきた経験と理念を礎に、日整会と社会の未来に貢献してまいる所存です。

 日整会は2026年に創立100周年という大きな節目を迎えます。現在、日整会ではこの歴史的瞬間に向けて、日整会100年プロジェクトを立ち上げ、次の100年を見据えた整形外科の在り方を多角的に議論し始めています。私もその一端を担い、学会の方向性を、社会と会員にとって意義あるものとすべく日々尽力してまいります。

 一方、我が国の医療界は現在、幾多の構造的課題に直面しております。診療報酬改定に伴う現場の混乱、財務省主導の医療費削減策による医療機関経営状況の悪化、医師偏在による医師不足の深刻化、そして次世代育成や専門性維持を脅かす制度的障壁など、医療界の山積する問題は多岐にわたります。

 さらに、AI診断技術の実装、遠隔医療・ロボット手術の普及、そして再生医療・移植医療といった革新的分野の発展が急速に進んでおり、診療現場の価値観・役割も再定義されつつあります。このような変化の中にあって、日整会は臨床的有効性・倫理的妥当性・医療経済的視点より慎重に評価し、整形外科医療を先導する責務を担っております。

 日整会は診療・教育・研究を推し進めるアカデミアとしての役割に加えて、厚生労働省をはじめとした関係行政機関との綿密な政策折衝を通じて、診療報酬制度の適正化や持続可能な医療構造の実現に向けても重要な責任を負っております。私はその副理事長として、現場の声を集約し、政策決定の場に確実に届ける“現場代表”としての役割を真摯に果たしてまいる所存です。

 こうした取り組みにおいて、千葉大学整形外科同門の諸先生方がこれまで積み重ねてきた知見と経験は、極めて重要な財産であると確信しております。千葉大学整形外科は、常に我が国の整形外科学の学術・臨床を牽引する存在であり続けてきました。その伝統と知的資産を、次世代へ、そして日整会の未来へと橋渡しする事が、私に与えられた使命であると深く感じております。

 今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。末筆ながら、諸先生方の益々のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。

 

令和7年6月吉日