第32回日本腰痛学会開催報告
更新日 2024.10.30
2024年10月25日(金)~26日(土)、千葉・幕張メッセ国際会議場にて、大鳥精司先生が学会長を務められた「第32回日本腰痛学会」が盛大に開催されましたのでご報告いたします。千葉大学同門としては、髙橋和久先生(第22回、2014年)、山縣正庸先生(第23回、2015年)に続き3度目の主催となり、腰痛治療分野における伝統ある学会として開催されました。
私は本学会の事務局長を務めさせていただき、2021年10月から準備を進めてまいりました。ポストコロナ時代を迎え、完全現地開催のみで行われましたが、過去最高の738名が参加され、活発な腰痛研究の議論が交わされました。千葉大学の同門の先生方からも会長講演1題、特別講演1題、教育講演2題、スポンサーセミナー2題、シンポジウム4題、アワードセッション4題、一般演題31題、ポスター15題と、合計60演題の発表が行われました(詳細は下記参照)。さらに、25名の同門の先生方が座長を務められました。また、会長招宴や全員懇親会も大盛況のうちに終了しました。
会長講演では、大鳥会長がこれまでの腰痛研究の成果と共に、日本の腰痛研究のあるべき姿について講演されました。特別講演1では髙橋和久先生より「英語論文作成のポイント」について、特別講演2ではラグビー日本代表チームディレクターの永友洋司様より「スポーツの力で未来を育てる」についてご講演をいただき、学会テーマである失敗を恐れず最後まで諦めない”前へ”の真髄について心に響くお話をいただきました。さらに特別講演3では、生坂政臣先生(ドクターG)より「総合医療の推論プロセス」について、特に問診の重要性をご講演いただきました。
本学会では、日本仙腸関節研究会が同時開催されたほか、理学療法士などメディカルスタッフ向けの企画も多数取り入れたことで、医師以外の多くの方々も参加され、過去最高の参加者数となりました。
懇親会は、大鳥会長のご方針により、余分な演出を控え、交流の場としての趣を重視したシンプルな構成で行われましたが、かえって新鮮で、参加された先生方が垣根を超えて交流を深める機会として好評を博しました。
また、2日間にわたり、朝から医局員の皆様に運営スタッフとしてご尽力いただきました。無事に成功を収められたのもひとえに医局員・同門の先生方のご支援・ご協力のおかげであり、改めて心より感謝申し上げます。
今後とも同門の先生方のご指導とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
演題一覧(順不同、敬称略)
- 会長講演
・今後の日本の腰痛研究はどうあるべきか? 大鳥 精司(千葉大学)
- 特別講演
・英語論文作成のポイント 髙橋 和久(千葉大学)
- 教育研修講演
・脊柱変形の治療と腰痛 髙相 晶士(北里大学)
・骨粗鬆症では何が起きているのか? 腰痛にまつわる基礎研究 成田 都(千葉大学)
- モーニングセミナー
・腰痛に対する脊髄刺激療法の有効性 -真の適応を考える- 稲毛 一秀(千葉大学)
- ランチョンセミナー
・高齢者腰痛の診断と治療-ノイロトロピンの臨床効果Up to date- 江口 和(千葉大学)
- シンポジウム
・慢性腰痛に対するロコトレの効果と限界を見極める 稲毛 一秀(千葉大学)
・スポーツにおける腰痛発生の多様性 井上 雅寛(千葉大学)
・筋肉量で腰痛を可視化する 宮城 正行(北里大学)
- リクエスト企画:リハビリ科はこれが聞きたい!
・組織学的視点から見た腰痛の治癒機転 井上 玄(北里大学)
- 優秀演題アワードセッション
・成人脊柱変形手術術後イレウスの一つの機序:後横隔膜脚腔に着目して 大山 秀平(千葉大学)
・胸椎後縦靱帯骨化症患者に対する後方除圧固定術の術後骨化病変評価 丸山 隼太郎(千葉大学)
- ヤングアワードセッション
・ラット卵巣摘出(OVX)腰椎後側方固定術(PLF)モデルにおけるRomosozumab投与による骨癒合促進効果に関する検討 奥山 晃平(千葉大学)
・脳波の複雑性解析による慢性腰痛の認知行動療法適応スクリーニングシステム開
発 清水 啓介(千葉大学)
- 一般演題( 口演)
・成人脊柱変形に対するVertebral Column Resectionの成績と合併症 井上 雅俊(千葉県済生会習志野病院 整形外科)
・成人脊柱変形に対する胸腰椎後方固定術におけるヒトトロンビン含有ゼラチン使
用吸収性局所止血材(サージフロー)使用の有用性 高橋 宏(筑波大学)
・保存療法抵抗性の化膿性脊椎炎のリスク因子の検討 乗本 将輝(東邦大学医療センター佐倉病院)
・終板貫通スクリューを用いた後方固定で良好な経過を経たDISH非強直部に生じ
た化膿性脊椎炎 藤本 和輝(国府台病院)
・Biportal 脊椎内視鏡手術(BESS)の術後早期腰痛の検討 -従来法、fullendoscopic
discectomy interlaminar法との比較- 手嶋 源太郎(千葉メディカルセンター)
・腰椎椎間板ヘルニア再発患者に対するコンドリアーゼ椎間板内注入療法の成績 鈴木 徳孝(千葉大学)
・若年層に対するヘルニコア注入療法は有効か?青壮年期との治療効果の比較 茂手木 皓介(西能病院)
・当院での腰椎椎間板ヘルニア摘出術における椎間板内操作と慢性腰痛症との関連 鈴木 弘仁(船橋整形外科病院)
・低用量アスピリン内服継続下に行った腰椎除圧術の周術期の安全性 高岡 宏光
(新東京病院)
・立位臥位比較のDynamic translationは腰椎単椎間除圧術後の再手術リスク因
子である 大山 秀平(千葉大学)
・脊柱管狭窄の程度とOLIFによる間接除圧効果に関する検討 穂積 崇史(君津中央病院)
・腰椎変性すべり症に対する経皮的椎弓根スクリュー併用椎間関節固定術の術後
10年の良好な臨床成績 宮下 智大(松戸市立総合医療センター)
・腰部脊柱管狭窄症における足底部の温度不均衡と椎弓切除術後の変化に関する検
討 竹生 浩人(千葉大学)
・腰椎後方椎体間固定術 (TLIF)におけるexpandable cageとstatic cageの比較 齊藤 淳哉(東邦大学医療センター佐倉病院)
・脊髄硬膜内髄外腫瘍および馬尾腫瘍に由来する腰痛の特徴と手術成績 古矢 丈雄(千葉大学)
・転移性脊椎腫瘍における脊柱管内腫瘍の存在は急性麻痺発症のリスク因子である:
リスクの高い脊柱管内腫瘍の性状の解析 大山 秀平(千葉大学)
・転移性脊椎腫瘍患者における脊柱管内腫瘍の頻度、特徴と単純CTでの同定精度 大山 秀平(千葉大学)
・3DCT画像を用いたS1神経根ブロックの解剖学的解析:効果的なS1神経根ブロッ
クのための知見 鈴木 徳孝(千葉大学)
・神経障害性疼痛を呈する腰痛に対する仙骨硬膜外ブロック 萩原 義信(北千葉整形外科)
・深層学習を用いたMRI拡散テンソル画像における神経根Tractography作成の自
動化 枡本 りら(千葉大学融合理工学府基幹工学専攻医工学コース)
・術中支援を目的とした補助内視鏡下総腸骨静脈のセグメンテーションモ
デル精度及びリアルタイム性の検証 山本 香織(千葉大学大学院融合理工学府基幹工学専攻医工学コース)
・外科医の腰部負荷軽減を目指した可変型コルセットの開発と力学的検証(第2報)柿原 隆史 (千葉大学大学院融合理工学府基幹工学専攻医工学コース)
・肺癌脊椎転移のFDG-PETによる病的骨折の予測 武田 昂典(千葉大学)
・MRI T2 mappingを用いた腰椎疾患における体幹筋評価-CT画像と体組成,臨
床成績との関連- 鈴木 徳孝(千葉大学)
・発育期腰椎分離症の診断における新たな診断技術MR Bone Imagingの有用性 奥山 晃平(千葉大学)
・腰椎分離症に対する体外衝撃波療法の安全性と有効性 岩田 秀平(船橋整形外科病院)
・発育期腰椎分離すべり症患者のすべりに関する検討 畠山 健次(船橋整形外科病院)
・O-arm based navigation systemを使用した脆弱性骨盤骨折に対しての治療戦
略 水谷 雅哉(聖隷佐倉市民病院)
・DISH胸腰椎骨折に対する終板貫通スクリューによる固定範囲短縮化の限界
石川 哲大(さんむ医療センター)
・脊椎後弯症患者における口腔機能低下と骨粗鬆症、筋量の関連の解析 大山 秀平(千葉大学)
・Fenestrated screw cement augmentation施行前にするべき手術手技 藤由 崇之(君津中央病院)
- 一般演題( ポスター)
・保存加療中に転位が増強し、外科的治療が奏効した仙骨横骨折の一例 小田切 拓磨
(君津中央病院)
・広範な馬尾浸潤を呈し、急速な病勢進行を辿ったびまん性大細胞型リンパ腫の一
例 平島 哲矢(千葉県がんセンター)
・当院受診患者のアンケート調査によるロコモティブシンドロームの知名度と認知
度について 久保田 剛(久保田整形外科クリニック)
・腹圧トレーニング機器RECOREで計測した腹圧と体幹筋、腰椎矢状断アライメ
ントとの関係について 渡慶次 壮一郎(千葉大学)
・腰痛は慢性化しやすいのか? 高橋 弦(山王整形クリニック)
・妊娠32週に腹臥位・全身麻酔で手術を行なった腰椎椎間板ヘルニアの1例 奥山 晃平 (千葉大学)
・肥満の腰椎椎間板ヘルニア患者の術後成績に関する検討 佐藤 雅(東千葉メディカルセンター)
・Expandable cageは腰椎後方椎体固定術後cage脱転ゼロをもたらす 西能 健(西能病院)
・成長期腰椎分離症の骨癒合判定はMR Bone imagingで診断できるのか~骨癒合
後の腰痛再発率からみた調査~ 寺門 淳 (北千葉整形外科)
・腎移植後患者の脊椎手術の成績 下山 稔人(千葉大学)
・脆弱性骨盤輪骨折に対しTrans Iliac Trans Sacral(TITS)スクリュー挿入後にイ
ンプラントの前進を認めた2例 山田 裕介(千葉県立佐原病院)
・腰椎疾患関連の慢性疼痛患者に対するトラマドール塩酸塩速放部付徐放錠の安全
性と忍容性 赤澤 努 (聖マリアンナ大学)
・腎機能障害からみた日常診療におけるNSAIDsの使用状況調査 井上 雅寛(千葉大学)
・当院における神経障害性疼痛への薬剤処方状況と腎機能障害との関連調査 井上 雅寛(千葉大学)
・授乳期の慢性腰痛に対し各種ブロックを施行し早期に疼痛コントロールを得られ
た一例 俊 徳保(千葉県立佐原病院)