モントリオール中継 Since 2013
更新日 2017.1.25
今回女性医師のページに掲載させていただく機会をいただきました、平成16年卒の鈴木都と申します。自分は同門の先生方と同様に、入局後関連病院での後期研修をした後、大学院生として大学に帰局し、大学院を修了した2013年に1年、カナダのマギル大学に海外留学させていただきました。それが縁となって、現在は主にマギル大学との共同研究を中心とした国際連携事業の仕事、並びに環境生命医学教室で医学部の学生への肉眼解剖教育をしております。
少々イレギュラーな仕事をしておりますが、現在の国際連携事業の一環であるマギル大学との共同研究についてお話しさせていただきたいと思います。ご覧いただいている医学部女子の皆さん、そして女性研修医の先生に少しでも千葉大整形外科に興味を持っていただけたら、幸いです。
1. マギル大学での研究生活
2013年、カナダはモントリオールにあるMcGill Universityにポスドクとして約1年留学しました。モントリオールはケベック州に位置する、公用語はフランス語であるトロントに次ぐ北米No.2の都市であり、とても素敵な街です。
ポスドクで1年留学した後は、2014年から現在まで、夏季の数ヶ月間visiting professorとして同様にThe Alan Edwards Centre for Research on Painというマギル大学の中にある痛みセンターの研究室に所属し働いています。研究室は遺伝子変異マウス(SPARC mice)である変性椎間板モデルなどを用いた慢性腰痛の研究しているDr. Stone Pain labです。動物は痛みがあっても言葉で表現することは困難です。これは動物を用いた痛みの研究のリミテーションの一つでもあるのですが、これを様々な行動テストを用い評価しています。
私の研究テーマは骨粗鬆症と痛みの関係であり、現在は千葉大学とマギル大学との共同研究のテーマになっており、国際連携事業の一環の仕事となっています。
Dr. Stone Pain Labは、教授であるDr. Stoneを筆頭に、おそらく珍しいのではないかと思いますが、ほとんが女性で構成されているラボです。ラボの仲間はお母さんも多く、皆とてもパワフルに働いています。
モントリオールは同性婚が認められている市であり、さらには移民も多いため、多人種、多国籍、多様な価値観が混在しています。よって子育ては男男、男女、女女問わず全てのカップルにとっての課題な訳ですが、こちらの人々にとって仕事と子育ての両立はごく当たり前で、守られるべき権利として認知されています。自分はこちらに来て、人生観や価値観が大きく変わりました。全てが日本に持ち込めるものではないでしょうが、勉強になることが沢山あります。
2. 千葉大での仕事
現在私は環境生命医学教室の森千里教授がセンター長である千葉大学予防医学センターに所属しております。先述のように、留学から継続しております基礎研究を、マギル大学のペインセンターと千葉大学予防医学センターとの共同研究として、昨年センター間連携契約を結ぶことができました。また、千葉大学とマギル大学との間の大学間の国際連携契約も同時に締結することもできました。これらの国際連携の締結には約2年半かかりましたが、その間千葉大学の西田副学長、並びに国際課の方々にマギル大学に何度も足を運んでいただき、何とか実現することができました。大学院の先生方、そして千葉大学の学生の皆さんにとってのマギル大学への重要なパイプラインを築けたことになります。今後どんどんマギル大学との交流を深めていってほしいと思っています。
− 最後に −
仕事をしている時には女性も男性もないように思います。
千葉大整形に入局してから、他大学出身である事や女性である事を殆ど意識せずに働けているおかげでそう思えているのかもしれません。
そうはいっても
解剖学的な、さらには日本特有の文化的、社会的側面での男女の違いについては身をもって感じる部分はあり、悩んでもきました。しかし、それは女性だからということだけではなく、社会で働く人間の一般的なそれと信じています。
自分は同期や先輩、時には後輩に助けられながら仕事を続けています。若輩ですが自分もいつかは誰かの助けになりたいと思っています。
整形外科に興味が少しでもある研修医、そして学生の皆さん、是非一度見学にいらしてください。いつでも大歓迎です!