第57回日整会骨軟部腫瘍学会参加報告
更新日 2024.7.15
2024年7月11-12日に第57回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会がフェニックスプラザ(福井市)で開催されました。「ダイバーシティで進化する腫瘍の格致」がテーマで、「格致」とは中国の儒教の古典「大学」にある「格物致知」から取り合わせた言葉で、「物事の道理や本質を深く追求し、理解して、知識や学問を深め得ること」を意味しているそうです。
私は国内留学先の国立がん研究センター研究所で行っている「骨軟部腫瘍のマルチオミクス解析がゲノム医療の限界を補完する」といった内容でゲノム医療のシンポジウムに登壇し、全国の先生方とディスカッションを行うという貴重な経験をすることができました。
また、福井では至る所に恐竜の骨格標本や模型がありました。整形外科医としては恐竜の骨形態(ティラノサウルスは爬虫類の一種で頚椎が10つ、マンモスは哺乳類でヒトと同じく7つ)なども勉強になりました。恐竜も骨肉腫に罹患していたという報告もあるそうです*。
貴重な機会に感謝しつつ、本学会で得た知見を今後の臨床・研究に生かしていきたいと思います。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
千葉大学関連施設、演題一覧(敬称略、順不同)
<座長>
・ランチョンセミナー5、教育研修講演10 米本司(千葉県がんセンター)
<シンポジウム>
「加速する骨・軟部腫瘍に対するゲノム医療:現状と課題」骨・軟部腫瘍のプロテオゲノミクス解析 岩田秀平(国立がん研究センター研究所)
<口演>
・類上皮肉腫の腫瘍進展におけるレドックス制御機構の解明 木下 英幸(千葉県がんセンター)
・当院のサルコーマセンターにおける軟部肉腫の治療成績の検討:センター開設前後の比較 米本司(千葉県がんセンター)
・がんロコモとしての化膿性脊椎炎の検討 橋本光宏(千葉ろうさい病院)
・当院における整形外科悪性腫瘍に対するハイパーサーミア有効例の検討 結城駿(千葉県がんセンター)
・脊椎原発中間悪性・良性腫瘍に関する統計学的検討 ―全国骨・軟部腫瘍登録を用いた後ろ向き調査― 土屋流人(船橋市立医療センター)
・メソトレキサート大量療法後にThird Spaceへの貯留からメトトレキサート排泄遅延を生じた骨肉腫の3例 常世田修平(千葉県がんセンター)
<ポスター>
・ペムブロリズマブが有効であったTMB-highを呈する胸壁平滑筋肉腫多発肺転移の1例 鴨田博人(千葉県がんセンター)
・手指・足趾に発生した悪性腫瘍に対する指列切断術の治療成績 永井春樹(千葉県がんセンター)
・ダヴィンチ支援前立腺全摘除術後に生じた恥骨骨髄炎の1例 八田宗粋(千葉県がんセンター)
*Ekhtiari S, Chiba K, Popovic S, et al. First case of osteosarcoma in a dinosaur: a multimodal diagnosis. Lancet Oncol. 2020;21(8):1021-1022.