千葉手・肘の外科研究会 Cadaver Workshop 2017
Advanced CAL course
更新日 2018.5.2
平成29年11月23日 開催
平成29年11月23日(木)に千葉大学大学院医学研究院Clinical Anatomy Lab(CAL)にて、「千葉手・肘の外科研究会Cadaver Workshop2017」が開催されました。このCWは、千葉大学整形外科学と千葉手・肘の外科研究会共催で、これまでに5回開催してきました。6回目となる今回から、NPO千葉医師研修支援ネットワークにも共催となって頂き、さらに充実したプログラムを開催できました。千葉手・肘の外科研究会は、千葉県内で勤務する手外科医の教育研修・相互交流の場として症例検討会や特別講演会、そして献体を用いて手術手技の教育を行うCadaver Workshopを実施しています。学閥を超えて集まる参加者により、毎回熱気に満ち溢れたWorkshopが開催されています。
今年のテーマは、手関節鏡・肘関節鏡・靭帯再建術としました。豊富な経験を持つ講師2名を招き実際にデモンストレーションを行った後で、参加者が実技を学びました。関節鏡は視野が非常に狭く、わずかなスコープのズレが手技を難しくします。参加者も講師によるアドバイスでどこが改善すべきポイントかがよく理解出来たと思います。この経験が日常診療に今すぐにでも役立ち、手術の安全と患者さんの安心に寄与するものと確信しております。
講師をお引き受けくださいましたキッコーマン総合病院田中利和先生、千葉市立青葉病院六角智之先生、関節鏡や靭帯再建キットをご提供頂きましたSmith&Nephew、Stryker、Arthrexの皆様、CALの理念に御理解頂き献体して頂きました千葉白菊会の方々にこの場をお借りして参加者一同心より御礼申し上げます。
参加者の声
平成29年11月23日に千葉大学Clinical Anatomy Lab(CAL)で開催されました千葉手・肘の外科研究会Cadaver Workshop 2017に参加させていただきました。
講師の田中先生と六角先生のご指導のもと、肘関節鏡、手関節鏡、手根靱帯再建術について学ぶ事ができました。手根関節周囲の細かな手技も、大きなモニターで鮮明に見ることができ、さらに実際にご遺体に向かい自分で再現することでより深く理解し習得することができました。また実際に行う機会の多くない肘関節鏡・手関節鏡も、経験値が高い指導医の先生からの適切なアドバイスのもと、徐々にイメージ通りの視野を確保できるようになりました。今回得られた知識と技術を今後の診療に役立て、さらには指導していけるよう努力する所存です。
このような機会を与えて頂いた関係者の皆様、そしてなにより御献体くださった方々とそのご遺族、千葉白菊会の皆様に深謝申し上げます。
このたび、千葉大学Clinical Anatomy Lab(CAL)で手術手技の講習会に参加させていただきました。このような場で手術手技を学べることは、感謝の一言に尽きます。
すべての物事には「初めて」があります。医師もまた同様です。経験したことのない手技を初めておこない、さらに試行錯誤(trial and error)を繰り返して手技が向上していくことが一般的です。しかし医療の現場ではいくら初めての手技とはいえ、errorを起こしてはいけません。もちろん事前に文献を読み勉強をしたとしても、実際の手術にならないとわからないこと、気づけないことがたくさんあります。
近年では、医師が手技を学んだり、新しい手術術式や手術器械の開発をおこなう場として、御遺体を使う方法が知られてきました。しかし日本には今まで、このようなトレーニングや解剖をおこなえる場がありませんでした。そのため、わざわざ海外に行き、海外の御遺体、施設を利用しトレーニングをおこなってきたのが実情です。日本人が海外に行き、お金を払ってトレーニングをし、その成果を日本に持ち帰り、手術に反映させています。これはわれわれ日本人から見ると素晴らしいことかもしれませんが、海外の方々からは批判もあったと聞いたことがあります。
また海外にトレーニングに行くことはお金だけでなく、時間もかかります。私のような市中の勤務医にとっては、患者さんのためとはいえ、他の患者さんの診療や、手術の時間を削ることになり、大きなジレンマを抱えています。
今回、千葉大学で御遺体を使い、手関節鏡の手技、様々な術式を経験することができました。この講習で学ばせて頂いたこと、私の元に受診してくる患者さん達に必ず還元していきます。
最後になりましたが、サポートして頂いた千葉大学整形外科学の皆様、鈴木崇根先生を始め環境生命医学スタッフの皆様、そして御献体頂きました献体者とその御家族、千葉白菊会の皆様に深く感謝申し上げます。