衝撃波
更新日 2020.4.24
グループ紹介
千葉大学体外衝撃波グループでは、近年運動器疼痛疾患特に腱付着部症に対する治療である体外衝撃波療法を積極的に行っております。体外衝撃波療法はスポーツ障害である腱付着部症や骨折後の遷延癒合に有効な治療法です。当外来では腱付着部の難治性障害(テニス肘、野球肘、肩石灰性腱炎)や骨折後の遷延癒合に対して体外衝撃波療法を行っております
外来案内と主な疾患
体外衝撃波外来外来は落合信靖講師を中心に数名の医師で診療にあたっており、火曜日午前、水曜日午後に診察を行っております。当科では肩関節では肩石灰性腱炎、肘関節ではテニス肘、ゴルフ肘、野球肘や骨折後の遷延癒合、偽関節に対して体外衝撃波療法を行っております。体外衝撃波療法は、泌尿器科の尿路結石破砕治療としては普及していますが、整形外科領域でも多くの疼痛性疾患の除痛を目的とした治療に用いられています。欧米ではスポーツ選手を中心に、低侵襲で安全かつ有効な治療として使用されており、一回の治療時間は約30分程度で行え、患者さんは座位または診察台に寝たままの姿勢で行えるため負担がありません。
肩石灰性腱炎、石灰沈着性腱板炎
夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まる事が多いです。40~50歳代の女性に多く認められ、発症後1~4週の急性期、発症後1~6ヵ月の亜急性期、6ヵ月以上続く慢性期に分かれます。肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じ、肩の疼痛・運動制限を引き起こします。
この石灰は、当初は濃厚なミルク状で、時がたつにつれ、練り歯磨き状、石膏(せっこう)状へと硬く変化していき、石灰が膨らんでくると痛みが増していきます。急性期では腱板から滑液包内に破れ出る時に激痛となります。亜急性型、慢性型では、石灰沈着が石膏状に固くなり、時々強い痛みが再発することもあります。硬く膨らんだ石灰が肩の運動時に周囲と接触し、炎症が消失せず痛みが続く場合、石灰が消失しない限り肩の運動障害、痛みが持続するため体外衝撃波照射を行います。当院では、これまでに約80%の症例で石灰消失または縮小がみられております。
野球肘(内側障害、後方障害、肘頭疲労骨折)
野球肘は内側部障害、外側部障害、後方障害に分かれます。基本的には肩甲帯を中心としたリハビリテーションで改善する場合が多いですが、痛みが軽減せずスポーツ復帰が困難な場合疼痛治療に対して体外衝撃波療法を行います。
骨折後の遷延癒合、偽関節
骨折後の遷延癒合、偽関節では6カ月以上癒合が得られない場合、骨移植や再手術が必要になるときがありますが、体外衝撃波療法は再手術を行わずに癒合が得られる可能性のある治療法です。
スタッフ
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- 落合 信靖准教授
- Nobuyasu Ochiai, MD., PhD.
- 経歴
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1998年 千葉大学医学部卒業
1998年 千葉大学整形外科入局
2006年 千葉大学大学院修了(医学博士)
2006~2007年 米国UCSD留学
2007年 千葉大学大学院 整形外科助教
2016年 千葉大学大学院 整形外科講師
2018年 千葉大学大学院 整形外科准教授
- 資格等
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日本整形外科学会専門医
日本体育協会認定スポーツ医
日本整形外科スポーツ医学会代議員
日本肩関節学会雑誌肩関節査読委員
- 受賞歴
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第24回日本肩関節学会学会賞(2010年)
第88回日本整形外科学会優秀演題賞(2015年)
- 現在の研究
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- 肩関節、肘関節疾患の基礎的研究、臨床研究、整形外科領域における体外衝撃波療法
- 業績一覧