アジア太平洋最小侵襲脊椎手術学会CAL spine courseを開催して

更新日 2021.7.16

千葉労災病院

山縣正庸

PASMISS 2021会長

去る7月1日(木)に千葉大学医学部新館にてPASMISS CAL spine course が開催されました。このCadaver を用いたworkshopは翌7月2-3日にオンラインで開催されたPASMISS(アジア太平洋最小侵襲脊椎手術学会)に先行して実施された若手育成の手術手技講習会です。国際学会ですので当初から海外からも受講生を募集しており実際に希望者も多数おりました。しかし、コロナ禍で海外から我が国への渡航が困難な状態となってしまったことから、急遽国内の受講者のみに切り替えた経緯があります。
 6月には受講生もほぼ埋まり、準備は順調かに見えました。ところが開催10日前に4人の講師の中の一人から連絡があり、体調不良につき参加辞退したいとの申し出がありました。まさに晴天の霹靂です。慌てて代わりの講師を探すこととなりました。しかし開催まであと10日では簡単には代わりの講師は見つかりません。最悪講師3人体制とする覚悟もしました、しかし受講を心待ちにしている先生方の期待は裏切れません。様々な方面を探し回り、最終的に千葉白井病院の中山美数先生が受けてくれることになりました、既に予定していた手術をずらしてまでスケジュールを調整までしてくださいました。ただただ感謝です。当方の熱い思いが伝わったのだと思います。
 今回のCALは脊椎のMIS手術としてFESS(full endoscopic spine surgery), とL-LIF(lateral lumbar interbody fusion)を対象としました。テーブルは4テーブル(各4名の受講者)、受講者にはFESSとL-LIFの2種類とも受講してもらいました。午前と午後で受講生が手術台を入れ替わる上、イメージを使用するために周囲の支援が大変でした。しかし、そこは教室の先生方の素晴らしい連携プレーでなんとか無事に実習を済ます事ができました。本当にありがとうございました。
 医学部新館のCALの設備の充実度に加えて、講師の先生方の詳細かつ丁寧な指導もあり、参加された先生方の満足度は非常に高いものでした。学会のスライドではわからないアプローチ・考え方が理解できたとの感想を頂きました。これはまさに主催者の目標であります手術手技のみならず、手術に対する考え方までが次世代の若い脊椎外科医に引き継がれたことを意味します。非常に困難な中での開催でしたが、講師の熱意、CALのスタッフ、教室の先生方の協力、手術器具の準備をされた各機械メーカーの協力により完遂することができました。開催に御協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 受講された先生方におかれましては、献体された方のこの上ない崇高な御意志を尊重しつつ、得られた知見を明日からの診療に役立てて頂ければと考えております。今後も同様の講習会が開催されon the job training以外でも手術手技の伝承がなされることを切に希望します。