留学2年目、バルセロナでの新学期が始まりました。

更新日 2021.10.31

 

平成22年卒 貞升彩

 

 2020年秋より、欧州委員会の大学院Erasmus Mundus Joint Master of Arts in Sports Ethics and Integrity (MAiSI)に留学しております。無事にMaster2年目に進級でき、2年目はスペインのバルセロナで新学期を迎えました。

 

 1年目の滞在先であったベルギーのルーベン(KU Leuven)、チェコのプラハ(Charles University)は、いずれも治安が日本と同じくらいよかったことから油断しており、9月にバルセロナ(Pompeu Fabela University)に移りさっそくトラブルに会いました。プラハから出発する前に事前に予約していた滞在先が割と危険な地域にあって、買い物のために外に出るのがためらわれるところでした。家賃が高くてもいいからとにかく安全なエリアが一番と思い、高級ブティックが並ぶ地区で、エルメスの並びでロンシャンの前で絶対に安全と思われる次のアパートを決めて入金した後に、実際に案内されたのが、最初の滞在先よりカオスなスラム街で、事前の情報では斜め前はヴィトンのはずなのに、ヴィトンどころか薄暗い路地に面し、怪しげな人たちがうろついているエリアでした。つまり詐欺であったわけですが、なんとか全額取り戻し、1週間で3回引っ越しして、やっと安全なエリアの、セキュリティ万全な生きた心地のする場所で生活を始めることができました。

 

 ご存じの方もいるかもしれませんが、最近ヨーロッパは都市によっては留学生にとってかなりの住宅難であり、家が見つからずテント暮らし、という状況も耳にしますし、家が見つからず渡航できないという同級生もいます。加えてバルセロナではスリも暴力的になっており、コロナ禍で東アジア人はターゲットになりやすいとされる状況です。お金をたくさん払えば簡単に安全なアパートを見つけられるわけでもなく、とにかく必死で不動産屋さんと交渉し、そして相手が信じられる人か見抜く力を求められました。

 

 今は腰を据えて生活できるようになって1か月がたち、やっと勉強に集中できるようになりました。今期は次の最終セメスターでの卒論作成に向けての準備とスポーツ法学、犯罪学、マネージメントがテーマになります。卒論はパートナー大学であるベルギーのルーベン(KU Leuven)、チェコのプラハ(Charles University)、スペインのバルセロナ(Pompeu Fabela University)、イギリスのスウォンジー(Swansea University)、ドイツのマインツ(Johannes Gutenberg-Universität Mainz)、ギリシャのスパルタ(University of Peloponnese)に所属する数十名の講師陣の中から、自分のやりたいことと講師陣の専門などを自分で見極めて担当教官を決めます。

 

 ものすごく時間にゆとりのある中で研究をする滅多にないチャンスなので、すごく時間はかかるけれど、簡単で、最悪またロックダウンに見舞われても支障のないトランスジェンダーの研究をすることにしました。トランスジェンダー関連の論文をたくさん読んだり、授業を受けたりしていると、医学、哲学、倫理、社会学、法学といろんな分野が関連しどれも欠かせないし、研究をするのなら、そのすべてへの配慮や考慮が必要ということが分かります。そういう理由から、MAiSIのコースディレクターでかつWADAの倫理委員のProf Mike McNameeに相談し、研究手法はギリシャの先生、考察はイギリスの先生にというように複数の先生に介入してもらうことを勧められました。そして指導を依頼して、快く快諾していただけました。

 

 バルセロナは治安を除けば食べ物は群を抜いておいしく、おしゃれなお店もたくさんあり素晴らしい街です。最近は授業の帰りに地元民向けのサンタカテリーナ市場に行っています。そこでは英語が通じず、カタルーニャ語かスペイン語しか通じませんが、新鮮なお魚がたくさん売っています。私はいずれも話せないのですが、どうしてももう長く食べていないお刺身を食べたいという強い気持ちから、代わりにスペイン語混じりのイタリア語で交渉し、日本よりずっと格安で手に入るまぐろやサーモンを買って一年ぶりのお刺身を家で堪能しています。

 

 

写真1:Pompeu Fabra Universityのエントランス

 

 

写真2:クラスメートとの集合写真