第70回東日本整形災害外科学会若手優秀演題アワード受賞報告

更新日 2021.11.3

国立病院機構下志津病院

小林樹(H28卒)

 

9月17日から9月18日に盛岡で開催されました第70回東日本整形災害外科学会で、若手優秀演題アウォードを受賞いたしましたので、ご報告させていただきます。

私の演題は、「術前鼻腔咽頭培養とSSI発生率の検討-手術患者3年間の調査-」で、さんむ医療センターの石川哲大先生にご指導いただき2019年の教室例会の際に調査した内容です。

 

研究の背景としては、整形外科領域のSurgical Site Infection(SSI)は、術中落下細菌などの外因性感染と、患者自身の保菌に由来する内因性感染に大別されます。過去の論文では、鼻腔内の菌と感染部位の菌が遺伝子レベルで80%以上の相同性を有したとの報告があり、内因性感染の重要性が指摘されています。

 

一方で、全患者への鼻腔内検査は労力とコストの問題があり、効果的なスクリーニングの対象は確立していません。そこで、さんむ医療センターにおける3年間の手術症例1616例について鼻腔培養検査を行い、

  • MSSA保菌者とMRSA保菌者ではSSI発生率が有意に高い
  • 入院歴、施設入所中、75歳以上の高齢者ではMRSA保菌率が有意に高い

という結果を得ました。こうした患者への検査・除菌が効率的と考えます。

 

本年度の東日本整形災害外科学会は岩手医科大学の土井田稔学会長のもと、「一樹百獲 -若手整形外科医を育てます-」というスローガンのもと開催されました。私も長いコロナ禍の中でしたが、久しぶりに現地での口演発表を行い、大変貴重な経験をすることができました。今回このような素晴らしい賞を頂くことができたのは、手厚くご指導いただきましたさんむ医療センターの石川哲大先生、例会直前にデータを収集し直すことになりご協力いただいた当時のさんむ医療センター整形外科の全ての先生方、検査にご協力いただいたスタッフの方々のおかげです。

この場をお借りして深く感謝申し上げます、ありがとうございます。