特定臨床研究「腰痛を有する腰部脊柱管狭窄症に対するNTN(ノイロトロピン)錠の臨床効果 ―多施設共同,無作為化,実薬対照非盲検試験― 」のご報告

更新日 2022.12.21

運動器科学革新医療創成寄附講座
H11卒 江口 和

 皆さまにご協力たまわり,2021年1月から開始した「腰痛を有する腰部脊柱管狭窄症に対するNTN(ノイロトロピン)錠の臨床効果 ―多施設共同,無作為化,実薬対照非盲検試験― 」 ( https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/um?trial_id=jRCTs031200282 )ですが,無事に2022年5月で終了いたしました.このたび,研究成果を英語論文Pain and Therapy

(https://www.springer.com/journal/40122/)にacceptしましたので,ご報告いたします.

本研究は,千葉大学整形外科(研究代表:江口和)が主幹施設となり,千葉きぼーるクリニック(豊口透先生),東千葉メディカルセンター(青木保親先生・佐藤雅先生),下志津病院(山中一先生・佐藤崇司先生),船橋中央病院(山下正臣先生・阿部幸喜先生),国府台病院(藤本和輝先生)の6施設で実施されました。

 

 

 

結果として,

①ノイロトロピンは腰痛の改善(図1),歩行活動量(歩行速度・歩幅),立位バランス(3m timed up and go test・5回立ち上がりテスト)の改善を認めました.

②一方,リマプトストは下肢痛の改善、立位バランスの改善のみで,腰痛VASの改善は認めませんでした.

③ノイロトロピン・リマプロスト併用では,単剤投与に比べ歩行速度に対する上乗せ効果を認めました(図2).

 

ノイロトロピンは副作用が少なく,腰部脊柱管狭窄症の腰痛改善,歩行機能改善効果が明らかとなりました.本研究が微力ながら保険適応の道筋に貢献できれば幸いに存じます.

 

 

 

 本研究を遂行するにあたり,全面的なバックアップをいただいた大鳥精司教授,貴重な研究費提供をいただいた日本臓器製薬株式会社,治験のサポートをいただいたイーピーエス株式会社,多数の症例のご登録をたまわりました東千葉メディカルセンターの青木先生,船橋中央病院の山下先生・阿部先生,国府台病院の藤本先生,下志津病院の佐藤崇司先生にこの場をお借りして深謝いたします.

 

今後とも同門の先生方のご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.

 

 

 

 

図1 腰痛の変化量 ノイロトロピン(N)が最も腰痛が改善した

2 歩行速度の変化量 NL(ノイロトロピン・リマプロスト併用)が単剤投与に比べて歩行速度が改善した.