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学会発表・論文作成にオススメの書籍3冊

更新日 2021.3.18

千葉大学 整形外科
牧 聡(H18卒)

最近年をとって後輩の指導をすることが多くなり、指導の度に繰り返し同じことを言っているので指導内容をアーカイブ化して効率化できないかと思い、本コラムを開始しました 。フレッシュマンの先生から大学院生の先生までを対象にした若手の先生向けのコラムになります。(エキスパートの先生はご遠慮ください。)私も多くの論文を書いているわけではありませんので今後持ち回りでエキスパートの先生にも執筆をお願いする予定です。その際はどうぞよろしくお願いいたします 。

 

第1回目の今回は学会発表や論文作成にオススメの書籍を3冊紹介します 。

 

論文作成ABC:うまいケースレポート作成のコツ

フレッシュマンが最初に発表、論文を書く機会は症例報告が多いと思います。症例報告は初心者がやるものというイメージも多いと思いますが、意外ときちんとした指導を受けた先生は少ないのではないかと思います。また症例報告の書き方を指南する本はほとんどありません。「稀だから症例報告しよう」というセリフはよく聞きますが本書には「稀なだけでは論文にはならない(疾患の希有性で論文化できるのは世界で4-5例目まで)」とあり、目から鱗でした。「それほど稀では無いにしろ、〜だったために診断が困難であった、〜だったために治療法に影響を及ぼしたなど、実臨床に有用な示唆がなかったか」「疾患Aと疾患Bが合併したならばそれは偶然ではなく、それ自体が疾患の病態生理を物語っている可能性はないか」という視点が臨床医として重要とのことです。

 

JEMNet 論文作成マニュアル(Ver.2)

アンケートに答えるだけで無料!でP D FがD Lできます。研究プラン、論文執筆、投稿まで流れに沿って論文作成に必要最低限なことがコンパクトにまとまっており、最初にざっと要領を把握したい方には非常にお勧めです。初学者が間違えやすいポイント(カッコの前に半角スペースを入れるなど)が網羅されていたり、reviewerへの対応はパターンごとにまとまっていて大変参考になります。(今でも見返して参考にしています。)

 

臨床研究と論文作成のコツ 読む・研究する・書く

1つめの本と同じ松原茂樹先生の著書です。論文構造(structure)について大変よくまとまった本であり、私も何冊も論文の書き方のハウツー本を読みましたがその中でも1番参考になった本です。論文は何をどこに書くかは決まっているというルールが分かると論文が書きやすくなると思います。逆のその型を守っていないと主張が見えづらくなり何を言いたいのかよく分からない文章になってしまいます。日本語の書き方についても指導がありその点も大変勉強になります。(「腰痛にて来院。→腰痛を主訴に来院した。」など)