抄読会のスライド作成: 若手医師向けガイド
更新日 2023.9.21
はじめに: 概要と現実的な課題
抄読会は、新しいエビデンスを共有し、その臨床応用を考察する重要な場です。しかし、特にフレッシュマンの先生は、多くの情報を短時間で伝えようとする傾向があり、結果として聴衆の理解が追いつかないことがしばしばです。以下は抄読会のプレゼンテーションの形式の一つの例として参考にしていただければ幸いです。
3つの基本原則
- 時間管理: 5-6分以内での完了を目指す。
- 簡潔性: 1スライドあたりのテキストは6行以内。
- 主張の明確化: 特に重要な情報だけを強調、それ以外は省略。
スライド構成: 論文のフレームワークに沿って構成する
背景: 論文の導入部を反映 以下3枚のスライド
- 既知の事実: 既存研究の結果。
- 未解明の課題: 既存研究おける疑問点。
- 研究目的: 本研究で解明を目指す具体的な問題。
対象と方法: 実験設計の詳細 下記3-4枚スライド
- 研究デザイン: RCT、観察研究、メタアナリシス等。
- Inclusion/Exclusion Criteria: 研究参加条件、除外条件。
- 変数と評価方法: エンドポイント、サブエンドポイントの定義。
- 統計手法: t-テスト、ANOVA、回帰分析等。
結果: データの可視化
図とグラフを中心に提示: 方法と対応するように結果を明示。
考察: 結論を先に 下記4-5枚のスライド(論文の考察内の段落番号に相当することが多い)
- 主要な発見: 結論とともに、重要な発見を2-3点挙げる。(考察の第一段落に相当)
- 発見1の裏付け: 他研究との一致や対立を文献で示す。
- 発見2の裏付け: 同上
- 発見3の裏付け: 同上
- 限界点: バイアスの可能性、サンプルサイズの問題等。
結論: 簡潔に
本研究から得られた最も重要な知見とその臨床的意義。
追加のポイント
- テーマ選定: 主題は一般的な疾患(メジャーな慢性疾患、外傷、感染症など)にするとよいでしょう。専門外の分野の先生が聞いても興味を持ってくれそうなテーマにしましょう。
- Impact Factor: 高い方が絶対良い訳ではありませんが低品質な論文に出会うリスクは減少します。Chromeプラグインを入れればPubmedでIFで絞り込み可能になります。
まとめ
短時間で多くの情報を効果的に伝えるためには、研究の本質を抽出し、それを簡潔にまとめるスキルが求められます。上記のポイントを参考に、聴衆に対してより明確で理解しやすいプレゼンテーションを心掛けましょう。このポイントは抄読会だけでなく一般的な学会発表にも使えます。また上記の構造を理解して論文を読めるようになると自分が論文を書くときにも役立ちます。
筆者注)ChatGPTにhtml形式で出力してもらったら見やすい感じになりました。