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英語学術論文でよくある間違いを避ける: 記号と句読点に焦点を当てて

更新日 2024.3.15

千葉大学 整形外科
牧 聡(H18年卒)

はじめに

英語論文を書く際、記号の使い方は非常に重要です。記号の適切な使用は、論文の可読性と質を大きく左右します。しかし、日本人にとって、英語の記号の使い方は日本語とは異なるため、間違えやすいポイントがいくつかあります。

本記事では、英語論文を書く際に日本人が間違えがちな記号の使い方について、具体例を交えながら解説します。特に、半角記号の使い方、数字と単位の表記、数の範囲の表記などに焦点を当てます。これらのルールを理解し、実践することで、国際的な基準に沿った高品質な英語論文を作成することができるでしょう。

若手医師や大学院生の皆さんが、この記事を通じて英語論文における記号の使い方を正しく理解し、論文の質を向上させることを願っています。それでは、各項目について詳しく見ていきましょう。

 

半角記号の使い方

英語論文を書く際、半角記号の使い方には基本的なルールがあります。最も重要なのは、記号の前後にスペースを入れるかどうかです。

基本ルール:

  • ほとんどの記号は、その前にはスペースを入れず、後に1つスペースを入れます。
    例: This is an example of a sentence with a comma, followed by a space.

例外:

  • スラッシュ、ハイフン、ダッシュ: 前後にスペースを入れない。
    例: The date is 03/15/2024. The short-term effects were analyzed.
  • 丸カッコとブラケット: カッコの外側に1つスペースを入れる。
    例: This is a sample sentence (with parentheses) and [brackets].

等号、不等号の前後には、スペースを入れるべきです。
例: The value of x is equal to or greater than 5 (x ≥ 5).

ENダッシュ(–)の前後にはスペースは不要です。ENダッシュは範囲を示すときなどに使用されます。
例: The conference will be held from June 3–5, 2024.

これらの基本ルールを守ることで、英語論文における半角記号の使い方が改善され、論文の可読性が向上するでしょう。次の項目では、数字と単位の表記について説明します。

 

数字と単位の表記

英語論文において、数字と単位の表記には注意が必要です。基本的には、数字と単位の間にはスペースを入れますが、いくつかの例外があります。

数と単位の間のスペース:

  • 基本的に、数字と単位の間にはスペースを入れます。
    例: The sample volume was 2 ml. The experiment lasted for 24 h. The reaction time was 5 min.
  • ただし、%と℃は例外です。これらの単位は数字との間にスペースを入れません。
    例: The solution contained 5% ethanol. The temperature was maintained at 37℃.

9以下の数字のスペルアウト:

  • 一般的に、9以下の数字は単語でスペルアウトします。
    例: The experiment was conducted with three replicates. There were five participants in the study.
  • ただし、単位がついている場合は、スペルアウトする必要はありません。
    例: The mice were divided into 3 groups.

10以上の数字:

  • 10以上の数字は、文頭以外ではスペルアウトしません。
    例: The study included 15 patients. Twelve of them completed the treatment.

これらのルールを守ることで、数字と単位の表記が統一され、論文の質が向上します。次の項目では、数の範囲の表記について説明します。

 

数の範囲の表記

英語論文で数の範囲を表記する際には、ENダッシュ(–)を使用し、その前後にスペースを入れないようにします。

例:

  • The study was conducted between 2012–2016.
  • The participants’ ages ranged from 18–65 years.

日本語では、範囲を示すのに「〜」(波ダッシュ)を使うことが一般的ですが、英語論文では使用しません。

例:

  • 日本語: 研究は2012年〜2016年に実施された。
  • 英語: The study was conducted between 2012–2016. (正しい表記)
  • 英語: The study was conducted between 2012〜2016. (誤った表記)

また、チルダ(~)は英語では数字の前に付けると「約」や「およそ」の意味になるので、範囲を示す目的で使用すると誤解を招く可能性があります。

例:

  • ~40 participants were included in the study. (約40人の参加者が研究に含まれた。)

数の範囲をENダッシュを用いて正しく表記することで、論文の内容がより明確になり、誤解を避けることができます。

 

ENダッシュとハイフンの違い

ENダッシュ(–)とハイフン(-)は、見た目が似ていますが、用途が異なります。

ENダッシュ(–):

  • 主に範囲を示すために使用されます。例: 2012–2016, pages 25–32
  • 文章の中で、挿入句を示すためにも使われます。例: The participants – both students and teachers – were surveyed.
  • Mac: オプションキー+ハイフンキー
  • Windows: Alt+0150(テンキーで数字を入力)

ハイフン(-):

  • 主に複合語をつなげるために使用されます。例: well-known, state-of-the-art
  • ページ番号や電話番号、IDなどでも使用されます。例: 1-800-123-4567, ID: 123-45-6789
  • Mac: ハイフンキー
  • Windows: ハイフンキー

ENダッシュとハイフンを正しく使い分けることで、論文の意味がより明確になり、専門的な印象を与えることができます。

 

まとめ

英語論文を書く際、記号の使い方は非常に重要です。本記事では、日本人が間違えやすい記号の使い方について、具体例を交えながら解説しました。

 

半角記号の使い方では、ほとんどの記号は前にスペースを入れず、後に1つスペースを入れるという基本ルールを紹介しました。また、等号や不等号の前後にはスペースを入れ、ENダッシュの前後にはスペースを入れないことを説明しました。

 

数字と単位の表記については、基本的に数字と単位の間にスペースを入れるが、%と℃は例外であることを述べました。また、9以下の数字はスペルアウトし、10以上の数字は文頭以外ではスペルアウトしないことを説明しました。

 

数の範囲の表記では、ENダッシュを使用し、前後にスペースを入れないことが重要であると強調しました。また、日本語の「〜」(波ダッシュ)や、チルダ(~)の誤用に注意が必要であることを指摘しました。

 

これらの記号の使い方を正しく理解し、実践することで、国際的な基準に沿った高品質な英語論文を作成することができます。若手医師や大学院生の皆さんが、この記事を通じて英語論文における記号の使い方を習得し、論文の質を向上させることを期待しています。

 

英語論文を書く際は、本記事で紹介したルールを参考にしながら、適切な記号の使い方を心がけてください。これらのルールを守ることで、論文の可読性と専門性が向上し、国際的な学術コミュニティで認められる論文を作成することができるでしょう。

 

(Claude3 Opusで記載)