Seminar/Column

セミナー/コラム

整形外科 Cadaver Workshop in Chiba <Knee>

Basic CAL course

更新日 2018.7.17

平成30年7月7日 開催

千葉大学整形外科 スポーツ膝関節グループ 
大学院生 小川裕也

平成30年7月7日、千葉大学Clinical Anatomy Lab (CAL)にて整形外科Cadaver Workshop in Chiba <Knee> 〜Basic〜を開催いたしました。本コースは整形外科専門医を目指すシニアレジデントを対象に、膝関節周辺の解剖や機能を理解し、基本的な膝の関節鏡手技を体験・習得してもらうことを目的としました。関連病院で日々関節鏡による治療を行っている2名の整形外科医を指導者としてお招きし、実際の手術で用いる道具を揃えて関節鏡視下手術を施行致しました。
今回はさらに、千葉大学附属病院の理学療法士や千葉県こどもとおとなの整形外科の理学療法士の方も参加し、手術風景・手技の見学と、下肢機能解剖を実際に参加して理解してもらう機会にもなりました。参加者からはすぐにでも臨床で活用できる有益な実習ができたとの声を頂き、医療の質の向上に少しでも貢献できたのではと喜ばしく思います。この様な大変有意義なワークショップを開催できたことに、献体頂いた方、白菊会の皆様およびCAL運営スタッフの皆様に心より感謝申し上げます。

参加者の声

千葉県がんセンター 整形外科

寺川文英

 

この度はCadaver Workshop in Chiba <Knee>に参加させて頂き、とても貴重な経験をさせて頂いたことに感銘を受けています。今回は学生の頃の解剖実習に比べ、より臨床に則した視点から臨むことができました。

 まず、膝の関節鏡の基本手技をじっくりと教えて頂きました。普段自ら手にとって動かす機会の少ないものなので、非常に新鮮な感覚で貴重な経験となりました。関節鏡の手技は非常に難しく感じられましたが、一方で使いこなしている諸先生方のスキルの高さを改めて体感するとともに、今後のモチベーションにもなりました。

 その後は我々若手の整形外科医に必須な、外傷の症例に関する解剖学的知識について、基礎から勉強させて頂きました。血管や神経など、手術中に注意しなくてはならない構造物を確認したり、また膝の裏など普段あまり大きく開けることのない部位の解剖に関しても学習できました。これらは明日からの自分たちの診療に直結する内容であり、時が経つのを忘れるほど身が入りました。

 今回の経験と知識を日々の診療に活かすべく、学んだ内容を繰り返し復習し、今後も努力を積み重ねていこうと思います。また今回指導して頂いた大学院生の諸先輩方に倣い、自分も数年後に後輩に様々なことを伝えていけるよう、知識を深めていきたいと思います。最後になりますが、このような場を設けてくださった千葉大学整形外科関係者の皆様、御献体いただきました千葉白菊会の皆様に、心より御礼申し上げます。

 

 

平成28年卒業 船橋市立医療センター整形外科  
林 伸晃

 

この度、整形外科Cadaver Workshop in Chiba <knee>に参加させて頂き、とても貴重な経験をすることができました。
 まずは関節鏡にて膝関節内観察時のroutineの診察法を学ばせていただきました。自分の手で関節鏡を操作することにより、日頃上級医の先生方が簡単そうに描出している光景が軟骨等を傷つけずに行うことがいかに難しいのか、また助手は何をすることによって操作がしやすくなるのかがわかりました。その後膝、足の解剖に移らせていただいたのですが、膝関節鏡で観察した構造物の直接視野による観察、ACL、PCL等の切断前後の身体診察における違い、神経、動脈等の重要構造物の走行、手術時の注意点等、実際の臨床では決して見ることのできない景色を見ることが出来、今後の手術に必ず生かすことが出来る非常に貴重な体験をさせていただきました。
このような素晴らしい環境に対してご理解とご協力をいただいております白菊会の皆様には心より御礼申し上げます。またCALの運営について尽力いただいております鈴木崇根先生を中心とした環境生命医学の皆様にも厚く御礼申し上げます。日々の診療にて必ず還元させていただきたいと思います。

 

 

千葉大学医学部附属病院 リハビリテーション科
 理学療法士 桑田真由子

 

この春に理学療法士となった者です。今回は、大学病院でしか体験できない貴重な機会だと思い参加させて頂きました。理学療法士は、患者様の動作や自分で関節を動かした感覚から、動作制限となっている身体内部の構成組織を特定していくことが評価において大切な要素の1つだと考えますが、今回の勉強会では、実際に組織を確認しながら身体を動かすことができ、三次元的な理解を深めることができました。また、今まで実施してきたアプローチ方法を再検討する機会にもなり、学べたことの多い勉強会となりました。また関節鏡などの手術方法を理学療法士が理解することで、術後リハビリテーションを考えるにあたり幅広い考え方を持てるようになったと思います。お忙しい中、貴重な機会を与えて下さった先生方、本当にありがとうございました。 

 


千葉大学医学部附属病院 リハビリテーション科
 理学療法士 古澤 優多佳

 

今回解剖学セミナーに参加させていただき、普段の臨床では学ぶことのできない多くのことを学ぶことができました。
 鏡視下関節鏡の際は、先生方がどのように膝内部を確認しているかを学ぶことができました。手術内容を学ぶことでセラピストとして患者様の痛みの訴えの部位の理解が行えるとともに、なぜ痛みが出現するかを理解することにつながると思いました。
 今回学んだ知識を、実際の手術を見させていただきたいと思ったと同時に、内容の理解もより一層深めることできると思いました。
 解剖に関しては先生方からの説明を聞きながら実際に筋肉や靭帯などに触れることが出来たため、非常に勉強になりました。また普段の臨床では実際に行うことが少ない整形外科テストも靭帯断裂前後での比較を行うことができたため、今後の臨床により活かすことができると思いました。
今回の貴重な体験を通して、診療で患者様への説明も伝えることができることが増えたと思います。また、教科書などイメージのみであった部分が構造や実際の動き方・役割などを学ぶことができました。今回のセミナーを通して、さらに精進し、患者様へ還元していけるように努力していきたいと思います。
 今回このような機会を設けて頂いた先生はじめ、ご指導頂きました先生方、ご遺体・そのご家族様に心より感謝申し上げます。

 


千葉大学医学部附属病院 リハビリテーション科
 理学療法士 但木 亮介


先日は貴重な解剖講義・実習に参加させて頂き、誠にありがとうございました。
 PTが臨床で働いているだけでは学ぶことが難しい、人体の深部を見られるいい機会だったと感じています。今後仕事をする上で、組織をもっと見る視点を養おうと思うきっかけになりました。
 関節鏡の映像は見たことがあったのですが、実際にポータルを作って挿入し、手探りで組織を探している先生方の姿を見るのは初めてでした。とても卓越した技術がないと医原性の関節損傷にも繋がりかねないという裏話もあり、思っていた以上に難しい手術手技だということが分かりました。
 ACL・PCLに関しては、その組織の意外なほどの小ささと強靭さに驚きました。特にPCLについては、断裂すると後方不安定性のみならず、回旋不安定性が著明に出現したため、今後TKAのPS型を見る際など、一般的な膝とは全く運動解剖が異なる点を十分に考慮して臨床に当たろうと思いました。
腸脛靭帯についても、筋膜束のような構造でかなり強靭であるということについては教科書で学んでいましたが、実際に組織を触り、伸張位を取ってみると、ほとんど伸張性がないことが理解できました。外側支持機構がいかに重要であるか、筋力低下している下肢ではいかに普段からストレスを賄っているかがよりイメージしやすくなりました。何気なく臨床で行っているストレッチが一体どこまで効果があるのか等、自分の治療を見直さなければならないと感じました。
また、膝周囲だけではなく、足関節(前距腓靭帯等)にも着目して頂けたので、より旨みのある講義であったと感じています。参加されていた先生の中には、足関節も専門で診ておられる方もいらっしゃったので、細かいお話が聞けてとてもためになりました。
紹介して頂いた先生方のご厚意に深く感謝致します。今後も機会があれば、是非参加させて頂きたいと思いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 


千葉大学医学部附属病院 リハビリテーション科
 理学療法士 大垣 貴史

 

今回のセミナーに参加させていただき多くのことを学ばせていただきました。
私が以前に経験していたのは大学在学中に解剖学実習として行ったものでしたが筋肉の走行や内臓の位置を目視で確認する程度のものにとどまっておりました。今回は当院整形外科の先生方に直に説明頂きながら筋や神経に触れることができたこと、また、靭帯は切除前後で関節の安定性の比較が行えたことなど今までに経験のない体験をさせて頂けことをとてもうれしく思っています。
 見て触れて感じることができたことにより関節の構造部やそれらの位置、役割といったものの理解もよりしやすくなったと感じました。今回のセミナーに参加させていただき私の中での人体のイメージがつき臨床での患者様に対する説明をより詳しくわかりやすく伝えられるようなると思っております。
 今回のセミナーに参加させていただき理解がより深めることができました。セミナー開催に携わって頂いた方に感謝したいと思います。

 


千葉大学医学部附属病院 リハビリテーション科
 理学療法士 根本 麻里絵


人体解剖は初めて見学させて頂きましたが、解剖図や人体模型、臨床場面でイメージするだけでは補えない、たくさんのことを学ぶことができました。特に、筋肉や腱を実際に触ったり関節を動かさせて頂いたことで、組織の伸張する様子や感触が直にわかったり、関節の動きを確認できたのは貴重な経験でした。また、組織が正常な状態と、靭帯を切除した後の状態を比較できたことで、臨床で出会う疾患への理解を深めることができました。今後の臨床場面ですぐに活かせるような体験と学びを得ることができ、この経験を日々の業務で患者さんへ還元していきたいと思います。
今回ご指導頂きました先生方、ご遺体とそのご家族の方々に心より感謝致します。

 


千葉こどもとおとなの整形外科
 理学療法士 君塚萌子

 

 この度、昨年に引き続きCadaver workshop in Chiba<Knee>に参加させていただきました。関節鏡下における遊離体摘出や半月板切除術、膝関節周囲における展開法、膝関節周囲の解剖を見学させていただきました。
 普段、整形外科クリニックにおいて臨床を行う上で、教科書上の知識や先輩方の手技から治療手技を学び、「どうしたら患者様の主訴に沿った治療を進め、結果を出すことが出来るのか」を模索しています。その中でも、解剖学に関しては重要でありながら、二次元上での理解でしかなく、運動療法を進める上でも理解しきれていないまま治療を進めている事が現状です。また、理学療法士の研修会として、ご遺体に向かい指導医の先生方のお話を聞ける機会は少なく、とても貴重な時間になりました。
 実際に展開していく際も、神経や血管の走行、筋の走行等一つ一つご丁寧にご指導いただき、理解を深めることが出来ました。また、筋や靭帯を自分の目で確認しながら関節操作を実施することで、各組織の機能解剖学を理解することが出来ました。教科書だけで分かったつもりになっている部分が多く、Cadaverでの見学中、臨床での患者様の症状と結び合わせて考えてみると、日常的に実施しているストレッチや関節モビライセーション等に関しても見つめ直すことが出来ました。今回の見学にて、各術式による手術侵襲を確認することができ、術後の患者様に対して、どの様なリスク管理が必要で、どの様な部分にアプローチが必要なのか改めて考えることが出来ました。また、術後の患者様に限らず、慢性期疾患やスポーツ障害においても今回学んだことを一つ一つ自分の感覚として身に着け、活かしていきたいと思っています。
 最後になりましたが、このようなCadaverを経験させていただき、ご献体してくださった方々、そのご遺族の方々、赤木先生をはじめとする先生方及びCAL運営者の方々に心より感謝申し上げます。