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名誉教授の独り言(199) 慢性硬膜下血腫

更新日 平成31年3月9日

 年末に自宅で滑って転んで頭部を腰板にぶつけたのは確かです。でも、差し当たって日常生活に何ら不自由が無かったので打撲だけだと思っていました。年明けから何となく疲れやすく、食欲が低下し、特に朝食はお茶碗半杯の御飯が食べられなくなっていました。更に3週間ぐらい前から両脚がもつれるようになってきてしまいました。1月末に昨年7月の一過性脳虚血発作の6ヶ月後の診察を受け、その際のMRIを読影してもらっていた時に12月末に頭部打撲があったことを言ったら「ありますねー」という事になってしまいました。念のため1ヶ月後の診察の予約をして帰宅しました。その後も自覚症状は全く変わらず、庭に出てアプローチの練習をしたらシャンクばかりで3年前の左慢性硬膜下血腫の時と同じ症状でした。
 2月末に再診を受けた時に自覚的には「もう完全に良くなっています」、と言われるのを期待していましたが、結果はそうではありませんでした。血腫の部分が拡大しており、早期の手術を勧められました。慢性硬膜下血腫は手術をしないでいると認知症になる可能性があるようなので、手術を受けることにしました。その時点では多少調整しなければならない予定もあり、5日後に入院、手術を受ける予定にしてもらいました。でも、その後、一過性には食欲も良くなり、脚のもつれも回復しているように思いましたが、入院の前日から元に戻ってしまいました。何もしていないので良くなるわけが無いと理解しました。
 手術予定の日は午前中に入院し午後に局所麻酔で手術が始まりました。頭蓋骨をドリルで穴を明けている時にゴリッ、ゴリッと聞こえたので、「もう少し麻酔を追加してくれ」とお願いし、その後は寝てしまいました。術後は少し傷のところが痛いだけで手術部位の苦痛はありませんでした。ただ、創部にドレーンが入っているので、上を向いてじっと寝ているようにとの指示でしたが、腰痛がひどくなり半斜位なったりして凌ぎました。ただ、排尿はベッド上でするように言われ、自信はありませんでしたが、やっとできました。ただ排便はどうしてもできる自信はありませんでした。看護師さんがトイレに行ってはダメです、と言っていましたが、どうしても我慢できなければ自己責任で行きます、と宣言しましたが幸いにして翌日ドレーンが抜けるまで我慢できたので、そのような事態は防ぐことが出来ました。
 術翌日から歩行許可が出て食事はラウンジでしても良いとなり、ゆっくりと食事を楽しみました。驚いたことに大変食欲が出ていました。多古米180gの御飯と美味しいおかずを完食できたのです。前日とその日の朝食は全く食べていなかったので空腹のせいかとも思いました。でも、夕食ももぐもぐと食べ完食してしまいました。食事は退院までほとんど完食することが出来ました。千葉大学病院の特別室の特別食は大変美味しかったです。脚の筋力も素早く回復しました。退院時にも完全には回復していませんでしたが、力強く歩けるようになり、歩幅も広くなり、歩くのも早くなりました。退院した日に庭でアプローチをしてみたらシャンクしなくなっていました。この状態なら陽気が良くなったらまたゴルフに復帰出来そうで楽しみです。
 今回の経験から慢性硬膜下血腫は出来るだけ早く手術をしてもらうべきだと思いました。それより前に何となくふらつく歩行をしている人や軽度の認知症の人は頭部のCTを受けるべきだと痛感しました。