Seminar/Column

セミナー/コラム

第52回日本脊髄障害医学会主催記

更新日 2017.12.5

昭和55年卒 千葉県千葉リハビリテーションセンター
吉永 勝訓

 平成29年11月16日、17日に伝統ある第52回日本脊髄障害医学会を、三井ガーデンホテル千葉にて開催させていただきました。

 本医学会は脊髄損傷・脊髄障害に関する研究・医療に従事する関係診療科の医師を中心にコメディカルスタッフが一同に会して、研究発表や交流を図る学会であり、故井上駿一教授も大切にされていた学会です。本医学会の大会長は整形外科、脳外科、泌尿器科、神経内科、リハビリテーション科の持ち回りで、私はリハビリテーション科の立場で今回の大会長を仰せつかり、「脊髄損傷患者の社会参加をめざして」というテーマを掲げました。

 会期の2日間は天気にも恵まれて参加者は603名と、お蔭様で想定を大きく上回りました。同門の先生方にもシンポジスト、座長、ランチョンセミナーなどをご担当いただいたのをはじめ、一般演題でも多数ご発表いただいたことに加え、多くの同門の先生に会場に足を運んでいただき、大変有難く、また嬉しく思いました。前日の諸会議、会長招宴から始まり、2日間の学会プログラムも大きな問題なく無事に終えることができましたことは、ひとえに千葉大整形外科同門の先生方と、献身的に運営を行ってくれた千葉リハビリテーションセンターのスタッフのお蔭と、深く感謝しております。

 プログラムは、一般演題241題、シンポジウム4、特別講演2、教育講演4、ハンズオンセミナー2、ランションセミナー4、という内容を用意しました。

 特別講演の、札幌医科大学整形外科山下敏彦教授には、来年度から臨床での使用が予定されている「脊髄損傷に対する自家骨髄間葉系幹細胞の静脈内投与による細胞培養」について、慶応義塾大リハビリテーション科教授理宇明元先生には「革新的ニューロリハビリテーション機器の開発、~つなぐ・つながるスマートリハ構想~」という、BMI(brain machine interface)やロボット工学を駆使した新しい時代の病院リハビリテーションのご提案をしていただきました。両講演とも多数の先生方で会場が埋まっておりました。

 教育講演として、独協医科大学整形外科の種市洋教授には「整形外科手術部位感染」、愛知医科大学学際的痛みセンターの牛田享宏教授には「生物・心理・社会モデルに基づく慢性疼痛治療」、独協医科大学排泄機能センターの山西友典教授には「脊髄損傷ガイドライン、二分脊椎ガイドラインに基づいた神経因性膀胱の排尿管理」、そして東北大学細胞組織学分野の出澤真理先生には「新しい医療を切り開くMuse細胞の可能性」、のご講演をいただきました。ちなみに種市先生、山西先生、出澤先生は千葉大学医学部のご卒業です。どの講演も多数の聴衆があり、ご講演内容も素晴らしかったと思います。

 シンポジウムのうち「脊髄再生とリハビリテーション」は会場が満席になるほど盛況で、実現が近い将来に迫った再生医療に伴うリハビリテーションに関して突っ込んだ議論が行われました。「高齢脊髄損傷者医療の現状と課題」では、増え続ける高齢脊髄損傷者に対する医療の現状と課題が浮き彫りにされ、本学会からの強力なメッセージ発信が必要であると感じました。「脊髄損傷者の社会参加」では、在宅就労、社会参加している患者の排泄管理の実情、パラリンピック脊損選手のもつ諸問題、千葉リハの頚髄損傷利用者によるピアサポート活動紹介などの発表があり、また「脊椎脊髄外科領域の診断・治療の最近の進歩」では、高齢化社会に向けたメッセージが一線でご活躍のシンポジストから出されました。

 第1日目の夜は恒例の全員懇親会で、当日解禁と聞いたヌーボーを急遽用意し、また千葉県の特産品が当たる抽選会を行いましたところ、220名の参加者があり大盛況でした。

 また、大会翌日の11月18日には、同学会関連の市民公開講座を千葉リハビリテーションセンター大ホールで開催し、100名以上の市民、当事者・ご家族にご参加いただき、それをもってすべての大会プログラムを終了いたしました。

 このような本格的な医学会開催は、私にとりましても千葉リハビリテーションセンターにとっても初めての経験でしたので、運営委員に同門の古矢先生、国府田先生に加わっていただき多方面のご尽力をいただいたほか、多くの同門の先生方にご協力をいただきました。この場をお借りして深く御礼申し上げます。

 来年の本医学会は愛知医大脳神経外科の高安教授を会長として名古屋で、31年の学会は秋田大学整形外科の島田教授が担当されます。32年はパラリンピック直後に神戸で行われる国際学会ISCoSとの同時開催となり、徳島大学の加藤真介教授が担当されます。多くの同門の先生方に本医学会への入会していただき、ご参加いただければ嬉しく存じます。