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セミナー/コラム

平成29年教室例会が開催されました

更新日 2017.12.15

平成29年 例会担当
向井務晃(H21)、貞升彩(H22)、萩原茂生(H18)

12月9日、10日に第1367回千葉医学会整形外科例会が医学部附属病院ガーネットホールにて開催されました。

本年は例年を大幅に上回る107題の登録があり、基礎から臨床まで多岐にわたる内容の発表がありました。多くの発表がありましたためやや時間的な制約もありましたが、レベルの高い活発な議論が行われました。台湾からのトラベリングフェローからの演題もあり、白熱の議論で例会にさらなる盛り上がりを加えました。本年度の例会awardは若手部門に穂積崇史先生(H25)、基礎部門に木下英幸先生(H24)、臨床部門に折田純久先生(H16)が選出されました。また、昨年度例会で発表された演題の中から英文誌に採択された論文のうち、特に優秀なものとして若手部門に土屋流人先生(H26)、基礎部門に廣澤直也先生(H20)、臨床部門に赤澤努先生(H8)が千整会奨励賞に選出されました。

ご参加いただいた多くの先生方の協力により本年度も無事開催できましたことを心より御礼申し上げます。

台湾トラベリングフェロー Dr. Kao(脊椎)

 

台湾トラベリングフェロー Dr. Lee

 

例会アワード受賞者:左より木下英幸先生(基礎部門H24卒),折田純久先生(臨床部門H16卒),穂積崇司先生(若手部門H25卒)

 
 

受賞者の声

 

千整会Award

 

臨床部門

『低侵襲L5/S前方固定(L5/S Oblique Lateral Interbody Fusion: OLIF51)手技の確立と検証』

折田純久(脊椎グループ・腰椎班 H16 卒)

この度,栄えある平成29年度千整会Award (臨床部門)を受賞する名誉を賜りました.受賞にあたりご高配頂きました関係各位に深謝申し上げます.

私の演題は,現在本邦で急速に普及が進む低侵襲脊椎前方固定術であるOLIF(Oblique lateral interbody fusion)について,今後導入が進められるL5/S椎間における手技の安全性と確実性を検証したものです.

千葉大学整形外科は鈴木次郎初代教授の時代より腰仙椎を含む前方固定術において歴史的なアドバンテージがあります.解剖学的な困難さや特有の合併症など,一般的には施行が困難と考えられている腰仙椎前方固定術の低侵襲化手技と成績を検証するにあたり,すでにTADにおける経腹膜的アプローチ,EPDに代表される腹膜外路アプローチなど諸先輩方にご指導いただいた経験と知見を以てあたることで偉大な先輩方との直接的および文献を通した間接的な対話をさせていただくことで,本研究が当教室の歴史を担った上での次世代への大きなステップとなることを認識いたしました.

本手術手技ははもちろん,今後も本邦の脊椎外科の発展に向け積極的に千葉大学整形外科から発信できるよう,精進していきたいと存じております.つきましては大鳥精司教授,高橋和久前教授,脊椎グループの先生方,および同門の先生におかれましては今後ともご指導ご鞭撻のほど,何卒よろしくお願い申し上げます.

 

基礎部門

『サルコペニアにおける酸化ストレスの関与および抗酸化剤の効果の検討』

木下英幸(脊椎グループ・腰椎班 H24卒)

このたび第1367回千葉医学会整形外科例会の基礎部門最優秀演題賞を受賞させていただきましたのでご報告させていただきます。

近年注目されているサルコペニアがテーマであり、様々な病因と考えられている酸化ストレスとの関係、さらに抗酸化剤の効果をin vitroin vivoにおいて検討しました。今回の発表では、教官の先生方や座長の先生から非常に的確で貴重なご意見をいただきました。今後の研究に還元していく所存です。

この基礎部門最優秀演題賞は、基礎において素晴らしい業績を残されていらっしゃる歴代の先生方が受賞されており、私も生涯で一度は受賞してみたいと切望しておりましたので、今回の受賞を大変光栄に存じます。来年度以降は千葉県がんセンターにて新たに腫瘍の基礎研究を開始し、ライフワークとしていきたいと考えております。

最後になりますが、このような研究を支えてくださいます、大鳥精司教授、折田純久先生、稲毛一秀先生をはじめとした教官の先生方、同門の先生方、関係者の方々にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申しあげます。

 

若手部門

『脊髄動脈への逆流を伴う脊髄硬膜外動静脈瘻8例の血管造影像の検討』

穂積崇史(成田赤十字病院 H26卒)

この度、第1367回千葉医学会整形外科例会にて若手部門最優秀演題賞に選出されましたのでご報告致します。数ある素晴らしい演題の中で選出頂き、大変光栄に存じます。

脊髄動静脈瘻は、動静脈のシャントにより脊髄の血流障害を来す稀な疾患です。症状は進行性で予後不良なため、早期介入が必要であり、手術または血管内治療が適応となります。治療選択は施設によりますが、いずれも良好な成績が報告されております。

しかし全体の4%と非常に稀に、シャントが硬膜外に存在する症例が存在します。これらは硬膜外動静脈瘻として区別され、治療法が定まっておりません。今回我々は、当院部長の板橋が経験した脊髄動静脈瘻全91例のうち、非常に稀で、治療法の定まらない硬膜外動静脈瘻の8例に注目し、血管造影像と治療選択について考察致しました。

研修医にとってはなじみが薄く、病態を理解する段階から早くも苦戦致しましたが、先生方の細やかなご指導により形にすることができました。貴重な題材を発表する機会を下さり、内容からスライド作成まで熱くご指導を賜りました、板橋孝先生をはじめ成田赤十字病院の先生方に心より御礼申し上げます。

 

千整会奨励賞(論文Award: 詳細はこちら

臨床部門

『Modic Changes and Disc Degeneration of Non-Fused Segments 27 to 45 Years After Harrington Instrumentation for Adolescent Idiopathic Scoliosis: Comparison to Healthy Controls』

Akazawa T, Kotani T, Sakuma T, Minami S, Orita S, Inage K, Fujimoto K, Shiga Y, Torii Y, Umehara T, Iinuma M, Kuroya S, Niki H, Ohtori S, Takahashi K.
Spine (Phila Pa 1976). 2017 Aug 1. doi: 10.1097/BRS.0000000000002362.

赤澤努(聖マリアンナ医科大学 H8卒)

この度は第2回千整会奨励賞の臨床部門に選出いただき誠に光栄に存じます。

平成21年に聖隷佐倉市民病院に赴任してからも、側弯症患者の長期経過観察の研究に取り組んでおりました。この研究は、千葉大学整形外科にてHarrington instrumentation手術が行われた思春期特発性側弯症の長期フォローで、昨年度の教室例会で発表したものを論文に致しました。本研究にあたり、聖隷佐倉市民病院の皆様や千葉大学整形外科の先生方には大変なご協力をいただいたことを感謝いたします。

最近は、外から千葉大学整形外科をみていますが、若手の先生方の勢いや研究の質の高さを身にしみて感じております。自分の研究は然ることながら、優秀な後輩を育成できるように精進したいと思っております。

 

基礎部門

『Vein wrapping facilitates basic fibroblast growth factor-induced heme oxygenase-1 expression following chronic nerve constriction injury』

Hirosawa N, Uchida K, Kuniyoshi K, Murakami K, Inoue G, Miyagi M, Matsuura Y, Orita S, Inage K, Suzuki T, Takaso M, Ohtori S.
J Orthop Res. 2017 Aug 4. doi: 10.1002/jor.23674.

廣澤直也(手外科グループ H20卒)

この度、第1332回教室例会におきまして、昨年度の教室例会で発表させて頂いた、Vein wrapping facilitates basic fibroblast growth factor-induced heme oxygenase-1 expression following chronic nerve constriction injury.(Journal of Orthopaedic Research)が、論文アワード(基礎部門)に選出されましたので御報告いたします。

この演題は、昨年度の教室例会で基礎部門アワードを頂いた演題でもあり、2度も光栄な賞を頂くことができ私にとって大変思い出の深い研究となりました。子供を寝かしつけてからの研究、北里大学への往復など今思い返せば、体力的にめげそうになったこともありましたが、こうして評価していただけたことで全て報われた気がいたします。しかし、僕以上にさらに頑張っている同期たちを見ている分、このような賞を自分がいただけたことは大変幸運であると思っております。

この論文は、何を隠そう私にとって、初めての英語論文であり、非常に時間と労力を割きました。改めて論文を書かれている諸先輩方の偉大さを身に染みて感じました。この経験を機に、千葉から更に世界に発信できるよう今後も精進して参りたく存じます。

研究を最大限サポートしてくださいました、大鳥精司教授、高相晶士教授、ペインロコモリサーチグループ先生方、北里大学院生各位、國吉一樹先生、手外科グループ先生方には大変感謝しております。この場をお借りして皆様に御礼申し上げます。そして、最後になりますが、この研究全てを、論文作成を直接、徹底指導してくださいました、北里大学の内田健太郎先生には改めて心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

若手部門

『Radical Surgery of Only the Anterior Elements of the Spine at the Posterior Element Fusion Level due to Metastatic Thyroid Cancer』

Tsuchiya R, Fujimoto K, Inage K, Orita S, Shiga Y, Kamoda H, Yamauchi K, Suzuki M, Sato J, Abe K, Kanamoto H, Inoue M, Kinoshita H, Norimoto M, Umimura T, Koda M, Furuya T, Nakamura J, Takahashi K, Ohtori S.
Case Rep Orthop. 2017;2017:2365808. doi: 10.1155/2017/2365808.

土屋流人(帝京大学ちば総合医療センター H26卒)

この度は栄えある第2回千整会奨励賞の若手部門に選出頂き、誠に光栄に存じます。

今回選出して頂きました論文は、昨年の日本脊椎インストゥルメンテーション学会と例会にて発表させて頂いた症例報告がもとになっております。私にとっては入局後初めての発表でありましたのでとても印象に残っており、それをこのように論文という形で残すことができ、大変嬉しく思います。

私にとっては初めての論文で、右も左も全くわからない状態だったのですが、現済生会習志野病院の藤本和輝先生には親身になって何度も直接御指導賜りました。また大鳥精司教授、折田純久先生、稲毛一秀先生をはじめとする腰グループの先生方には、学会発表の段階から大変お世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

今後は髙橋和久前教授が授賞式で仰っていたように、発表した内容をなるべく論文にすべく努力したいと感じております。今回の受賞を機に、臨床・研究ともにより一層励んでいきたいと思いますので、引き続き変わらぬ御指導御鞭撻の程、何卒宜しくお願い申し上げます。