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第53回日本脊髄障害医学会参加記

更新日 2018.12.1

沼津市立病院 平成28年卒
寺川 文英

2018年11月22-23日に愛知県名古屋市のウインクあいちにて、第53回日本脊髄障害医学会が開催されました。この場をお借りしまして、学会参加報告をさせていただきます。

 

本学会は、整形外科、脳外科、泌尿器科、神経内科など様々な分野の専門家が参加することが大きな特徴であります。基礎研究から臨床まで多岐にわたっており、講演、シンポジウム、一般口演、ポスターなど様々な形式でのセッションで構成されていました。

 

私自身も大学で経験した症例をポスターで発表させていただきました。牧先生、古矢先生のご指導のおかげで無事発表を乗り切ることができました。また、会場に足を運んでくださった神谷先生をはじめ諸先輩方にも心より感謝しております。

 

同期の発表はありませんでしたが、脳外科の知人も発表しており非常に刺激になりました。また、頸椎グループの諸先輩方の発表にも大きく刺激を受け、勉強させていただきました。今後も精力的に学会活動に参加し、自分の知識を蓄え意識を高めていきたいと思いました。

 

また初日の夜には和歌山労災病院の玉置先生を囲んで学会に参加していた千葉大学と筑波大学の関連施設の先生方が集まり懇親会が行われました。(写真)

 

最後になりますが、日々の診療があるにも関わらず快く送り出してくださった沼津市立病院の先生方に、深く御礼申し上げます。

 

 

 

 

 

平成13年 古矢 丈雄

 

2018年11月22日から23日の日程で名古屋にて開催された第53回日本脊髄障害医学会に参加いたしました。本学会は、昨年は教室の先輩であります千葉県千葉リハビリテーションセンター吉永勝訓先生が学会長を務められた学会です。本学会の特徴的なところは、脊髄障害、特に脊髄損傷治療に携わる多職種が参加する学会であるということです。整形外科はもちろん、脳神経外科、泌尿器科、リハビリテーション科、神経内科ほか、各領域からさまざまな職種の医療従事者が参加されます。発表も普段の整形外科関連学会では珍しい視点や論点での発表も多く、毎年大変興味深く参加させていただいています。

 

今回の学会テーマは「脊髄損傷の急性期医療を見直す」ということでした。カナダ、トロントのMichael G. Fehling教授が招待講演に招かれており、現在の重要なトピックの1つである超急性期、急性期の脊髄除圧の意義についてご自身のデータおよび過去の文献的考察からご講演されておりました。現在の世の中の流れとしては非骨傷性脊髄損傷に対しても「(超)早期除圧術が一定の効果があるのではないか」という考え方が広まりつつあります。今後、現在東京大学が中心となって行っている早期除圧の有用性を問う前向き臨床研究の結果も出てくると思います。当院の診療体制や治療方針についても、新しいエビデンスを基に見直してく必要性を感じました。

 

もう1つの目玉はやはり脊髄再生です。関連シンポジウムでは当院の推し進めているG-CSFを用いた医師主導治験について山崎正志先生が御登壇・御発表されました。同シンポジウムの総合討論では、治験を行う際の患者組み入れ基準の問題や、治療介入時期の設定に関する問題が議論されました。急性期脊髄損傷治験の課題を改めて確認いたしました。

 

私は頚椎後縦靭帯骨化症の保存治療に関する一般演題を発表いたしました。学会2日目の最後のセッションながら、フロアや座長からいくつか質問をいただき、今後研究をまとめる上で非常に参考となるご指摘をいただきました。また、大阪市立総合医療センター脳血管内治療科小宮山雅樹先生の椎骨動脈に関するランチョンセミナー御講演は個人的に大変勉強になりました。

 

本学会に参加し、引き続き脊髄障害、脊髄再生の基礎研究、臨床研究に注力しようと決心いたしました。不在中の病棟留守番業務を担っていただきました研修医先生におかれましては本当にありがとうございました。