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第2回Cadaver training for safe cervical surgeryに参加して

更新日 2019.2.7

平成22年卒
宮本 卓弥

 平成31年2月1日、2日に開催されました、国際頚椎学会日本機構および名古屋市立大学整形外科共催の第2回Cadaver training for safe cervical surgeryに参加いたしましたのでご報告いたします。

 日本を代表する大変豪華な先生方が講師として多数参加され、難易度の高い頚椎手術を安全に行うための手技について、初日は講義、2日目はカダバー実習という日程で行われました。

 初日は、頚椎手術の解剖、アプローチ、除圧や固定の手技について熱い講義が繰り広げられました。受講生だけでなく、講師の先生方同士も討議に参加され、とても内容の濃いものでした。当科の古矢丈雄先生も講師として参加され、千葉大学の得意とする頚椎前方手術における解剖について講義されました。

 2日目は、名古屋市立大学先端医療技術イノベーションセンターにおいて、カダバー実習が行われました。今回は、1テーブルにつき受講生2人講師2人という大変恵まれた環境で、手を止めて見学している時間がないほど、主体的に参加することができました。宮本裕史先生、下川宣幸先生には一日つきっきりでご指導をいただき、誠に感謝申し上げます。透視装置、顕微鏡、サージアトームを含む手術器械とインプラントが完備され、まさに実際に手術を行なっている感覚での実習でした。

 頚椎に特化したセミナーであり、頚椎前方や上位頚椎の手術、椎弓根スクリュー挿入といったクリティカルな手技についても十分な時間をとって深く学ぶことができました。普段の手術では、自分の操作の向こうに動脈や神経根が存在することを意識はしていても、術野には現れないために3次元的にイメージすることはなかなか難しいものです。カダバー実習では、通常の手技の後に、普段は見ることのできない危険な部位もあえて広く展開し、骨を削り、動脈や神経根の位置を確認することができました。実習で自分の目に焼き付けた光景を、普段の術野に重ね合わせることで、より安全に手術が行えると感じます。

 そして何より、エキスパートの先生方の、豊富な経験で会得された手技やtipsを、濃縮して教えていただけたことが貴重でした。教科書や講義だけでは実感しづらい部分も、実際の手術の流れに沿って、手に取って教えていただくことで、自分でも理解の度合いが段違いだと思いました。

 このセミナーを通じて一貫して感じたことは、講師の先生方の、次世代へ繋ぐという熱意です。自分を含むこれから研鑽を積んでいく若い世代は、この教えにさらなる熱意を持って応えていくことが、恩返しであると感じました。大変有意義なセミナーですので、同じ脊椎外科の道を選んだ同僚や後輩たちにも、ぜひ参加を勧めたいと思います。

 最後に、ご献体頂きました不老会の皆様、鷲見正敏先生、三原久範先生をはじめ国際頚椎学会日本機構の先生方、熱心にご指導頂きました講師の先生方、名古屋市立大学先端医療技術イノベーションセンターの方々、NPO法人MERI JAPANおよびスタッフの方々に深く感謝申し上げます。