Seminar/Column

セミナー/コラム

第4回Cadaver Seminar for Safe Cervical Surgery参加記

更新日 2021.3.16

第4回Cadaver Seminar for Safe Cervical Surgery参加記

 

丸山 隼太郎 (H28卒)

 

 Seminar for Safe Cervical Surgery 2021に参加させていただいた。脊椎外科を志してから初めてのキャダバーセミナーで、以前より非常に楽しみにしていた勉強会であった。コロナ禍であるが入念な感染対策と参加者の体調管理を行い開催していただけるとのことで、私も体調管理に精一杯注意して参加した。

 

 1日目の講義で解説して頂いたことを中心に、2日目のキャダバーセミナーで実践するという方式で行われた。

 講義では第一線でご活躍なさる錚々たる顔ぶれの先生たちが、頚椎領域の手術関連の知識について初学者向けの基本的なことから高度な内容まで解説していただいた。先生たちがどのような考えで診療を行なっているか、適応や手術式を決めるかの考えに触れることができ、また時には議論にも参加し、多いに刺激的な講義であった。

 キャダバーセミナーでは実際の手術と同様の流れで、時に透視やマイクロを用いながら本当の手術と変わらない臨場感ある実習を行った。キャダバー実習では椎骨動脈など、通常の手術では操作することが避けられる構造物を積極的に観察できる。これらの構造物は徒らにリスクを上げるだけなので、通常の手術では触ることや近くを操作することすら避けられる。しかしそのような手技を続けているだけでは、見えない椎骨動脈を恐れて拙い手術を続けていくことになる。今回の実習では実際にどこが危ない領域なのか、どの操作が危険なのか、実体験として解剖構造を理解できる唯一の機会を経験することができた。またこれらのことを名だたる先生たちに直接教えていただけることも他では得られない機会であった。教科書や論文、講演などで講義なさるのとは違う1対1の状況で実践的な細かい手技やコツなどを習うことができ、非常に貴重な経験を積むことができた。

 

 これらのセミナーは解剖学教室のスタッフの方、放射線技師の方、運営者の方等非常に多くの方々のご尽力によって成立されていた。また何よりもご献体していただいた方に対する感謝の念が尽きない研修会であった。ご献体していただいた気持ちに答え、恩返しができるよう強く決意し明日からの診療に携わりたいと思う。

 

 

 

古矢 丈雄 (H13卒)

 

 国際頚椎学会日本機構 (JCSS)主催のカダバーセミナー「第4回Cadaver Seminar for Safe Cervical Surgery」 (2021年3月6日-7日、名古屋)に講師として参加して参りましたので、ここに活動を報告させていただきます。

 

 COVID-19の影響で直前まで開催可否について慎重な検討が行われておりましたが、社会状況が少しずつ落ち着きつつあること及び受講生・主催者双方の熱い熱意により、感染予防対策を十分講じて現地開催される運びとなりました。

 初日の講義は受講生・講師とも一部現地・一部遠隔からのハイブリッド形式で行われました。術中ビデオや写真が多く用いられた臨床経験豊富な講師陣のプレゼンテーションにより頚椎前方・後方手術についての概要がおおよそ把握できる内容であったかと思います。症例検討では熱く討論する講師陣の様子をみて、受講生も向学へのモチベーションが高まったとの感想が聞かれました。

 2日目のカダバーでは頚椎手術の基本的手技および解剖学的事項の確認が行われました。私の担当テーブルでも前方はアプローチから除圧そして椎骨動脈の走行確認、後方は後頭骨から頚椎の展開およびC1-2固定術、椎間関節切除による神経根の除圧などを行いました。セミナー終了後には受講生からは大変有意義であったとの声が多く聞かれ嬉しく思いました。私自身も大後頭神経の走行や後側方アプローチについて、同じテーブルで講師を務められた時岡孝光先生から教わることが出来まして新たな知識を吸収することができました。

 カダバー会場となりました名古屋市立大学先端医療技術イノベーションセンターは設備の整った素晴らしい環境でした。今回のセミナーではレントゲン透視装置に加え、顕微鏡も2台導入され、椎間孔拡大術や、前方の除圧術などは実臨床と全く同じ環境下でのトレーニングが可能でした。おそらくセミナーは来年以降も開催されると思います。是非、脊椎脊髄外科医を志す若手先生におかれましては参加を積極的にご検討いただければと思います。

 

 山崎正志先生も閉会のご挨拶で述べられておりましたが、いろいろな施設、異なるバックグラウンドを持つ先生から学びを受けることは、毎回新しい知見を得ることができます。昨今、Webでのセミナーや勉強会も定着しつつありますが、やはり現地でFace to faceでセミナーやカダバーコースには代えられません。COVID-19の早期終息を切に願っております。

 

 最後になりましたが、医学の発展のために献体いただきました患者様、ご家族に心より感謝致します。また、名古屋市立大学医学研究科先端医療技術イノベーションセンターセンター長植木孝俊先生、当日お手伝いいただきましたスタッフの皆様にも心より御礼申し上げます。企画運営をお手伝いいただきましたメリジャパンのスタッフの方、共催の企業の方にも御礼申し上げます。最後になりましたが、国際頚椎学会日本機構 (JCSS)の先生方、特に今回の準備にご尽力されておりました鷲見正敏先生、三原久範先生、中島宏彰先生にもこの場を借りて心より御礼申し上げます。

  • 第1日目プログラム
  • 左 丸山先生、右 古矢先生