Seminar/Column

セミナー/コラム

第9回Japan Association of Spine Surgeons with Ambition (JASA)を開催して

更新日 2021.9.8

第9回JASA 当番世話人
古矢丈雄(H13卒)

この度、第9回Japan Association of Spine Surgeons with Ambition (JASA) を2021年8月21日 (土) ~22日 (日)の日程でWEB開催させていただきましたので報告致します。新型コロナウイルス感染症の影響で1年延期とさせていただきました本会でしたが、今年こそはどんな形式でも開催しようと準備を進めて参りました。討論重視の双方向型の研究会ですので、7月中旬くらいまでは、来場可能な先生方は是非現地でお会いしましょうと、いわゆる「現地メインのハイブリッド」で準備を進めて参りました。しかしながら、開催予定地でありました大阪府 (オリンピック・パラリンピックを回避し、大阪での開催で準備を進めておりました)と千葉県が共に8月2日から緊急事態宣言に入ってしまいました。世話人、共催企業と協議の上、予定の2週間前に急遽開催形式を「完全WEB」に転換し、何とか開催にこぎつけました。

 

 会のテーマはここ最近の学会や研究会では定番かと思いますが「非常時の中で」といたしました。非常時の中でもなんとか平常を見出し、自らの得意とする脊椎脊髄病学の分野で診療・研究を継続し、目の前の患者を救い、医学の発展に貢献するという想いをこめました。

 

 一般演題は「成人脊柱変形」、「脊髄腫瘍」、「転移性脊椎腫瘍」、「脊椎脊髄損傷」、「靭帯骨化症」の5つのカテゴリーを募集させていただきました。本会の参加者の多くは大学病院勤務の先生方でありますので、大学の先生方が得意とする高難度疾患・難治性疾患をテーマに取り上げました。このような社会状況下ではありましたが40題もの演題応募をいただきました。Web開催での通信トラブルの問題や聴講者の疲労負担を考慮し、会の規模を縮小させていただいた結果、査読にて演題を27題に絞らせていただきました。初のWEB開催という事もあり、本会の最大の魅力である討論の盛り上がりが心配されましたが、それは私の杞憂でした。チャット機能を用いて質疑のリクエストを募ったのですが、どのセッションもこれまでの現地JASA同様、演題発表が終わるとまるで早押しクイズのように非常にたくさんの質問をいただきました。

 

 特別講演には長崎労災病院小西宏昭先生と群馬脊椎脊髄病センター清水敬親先生をお招き致しました。お二人の先生には次世代を担う脊椎外科医への熱いメッセージを盛り込んだご講演をと事前にお願いさせていただきました。先生方のご講演は時間を忘れさせるような若手中堅へのメッセージに富んだ大変教訓深い内容でした。普段から若手教育を大事にしてくださるお二人のご講演を同時に聞くことができて本当に良かったです。

 

 JASAでは会を盛り上げるべく、優秀な演題発表に送られるBest presenter award (最優秀口演賞)と、鋭い討論を行った質疑応答者に送られるBest discusser award (最優秀討論賞)がございます。今回は当院の志賀康浩先生と、聖マリアンナ医科大学の飯沼雅央先生が同点で最優秀口演賞を受賞されました (本ホームページの2021年8月25日付ニュースに志賀先生の受賞記がございます)。志賀先生は私と一緒に骨転移専門外来を行っておりまして、今回のご発表は骨転移関連の演題の受賞でした。飯沼先生は私が推薦させていただきまして、今回はゲスト枠での参加でした。偶然にも飯沼先生も骨転移関連の演題でした。このお二人がフェアな投票で最優秀賞に選ばれたことは本当に嬉しいニュースでした (私はこの2名の採点からは外れておりますので、お二人の受賞はご当地特別枠ではなく、真の評価でございます)。

 

 最後になりますが、会の準備をサポートいただきました日本臓器、JTBの皆様に心より御礼申し上げます。当日の運営をサポートしてくださいました脊椎脊髄班の教官・大学院生にも御礼申し上げます。また、このような素晴らしい会の発起人の1人であります大鳥精司教授に深謝致します。大鳥先生より世話人を引き継ぎ、無事当番世話人としてこのような全国規模の研究会を開催できたことに感謝致します。

 

 多くの皆様のお力添えのお陰で盛会のうちに終えることができました。本当にありがとうございました。

 

 

図1 プログラム表紙

 

図2 当日お手伝いいただいた先生方。

左から稲毛一秀先生、三浦正敬先生、筆者、金勤東先生、白谷悠貴先生