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第30回日本脊椎インストゥルメンテーション学会 鈴木・野原ベストペーパー賞を受賞して

更新日 2021.10.25

君津中央病院整形外科脊椎脊髄外科部長 

藤由崇之(平成12年卒)

 

 

この度、「Dynamic K-line(+/-/+)型OPLLに対する椎弓形成術vs後方除圧局所固定術~傾向スコアマッチングを用いた解析~」(Journal of Spine Research第11巻10号)という演題で、鈴木・野原ベストペーパー賞を受賞いたしましたのでご報告させていただきます。

 

今回の受賞は同学会で2度目であります。第27回に鈴木信正ベストペーパー賞をいただいた「動的因子を加味したK-lineによる頚椎後縦靭帯骨化症の術式選択~Dynamic K-lineの有用性~」(Journal of Spine Research第8巻10号)の続編で傾向スコアマッチング用いた観察研究です。私は大学院生時代に無症候性頚椎OPLLの患者を集め、骨化が大きいのに症状が出現しないのは何故だろうと考えました。その結果、最大圧迫高位における局所不安定性が症状発現の機序になっていること証明し確信しました。

 

その後、K-line(+)症例での椎弓形成術成績不良例を検討したところ、やはり同結論にたどり着き、動的因子の重要性を再認識いたしました。その後、動的因子を加味したDynamic K-lineを提唱し、Dynamic K-line(+/-/+)と最大圧迫高位での局所不安定が相関する結果を得ることができました。ならば、むやみに頚椎を後方より全て固定するのではなく、Dynamic K-line(+/-/+)ならば、椎弓形成術に局所固定を追加すれば良いのではないかという考えに至りそれを実践し証明したということになります。今までの臨床研究の積み重ねの結果であり、今回の受賞を非常にうれしく思っております。頚椎OPLLに対する外科治療は前方法に勝るものはありませんが、何らかの事情で後方法が選択された場合、少しでもDynamic K-lineが術式選択のお役に立てればと思います。

 

最近は、脊椎関係のみならずAOTrauma Japan 教育委員としての外傷教育(AOコースなど)もあり多忙な生活を送っておりますが、大谷翔平選手のように2刀流を目指して頑張っていく所存です。

 

最後になりましたが、今回の受賞に関して今まで大変お世話になりました小西宏昭先生、山崎正志先生、国府田正雄先生、古矢丈雄先生、牧聡先生、豊根知明先生、大鳥精司先生さらに千葉大学脊椎グループの先生方々に深く感謝申し上げます。