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第56回日本脊髄障害医学会 学会奨励賞臨床部門 受賞記

更新日 2021.11.28

                                                        三浦 正敬(H26卒)

 

Automated detection of cervical ossification of the posterior longitudinal ligament in plain lateral radiographs of the cervical spine using a convolutional neural network

 

Sci Rep 2021 Jun 16;11(1):12702.  doi: 10.1038/s41598-021-92160-9.

頚椎単純X線像を用いた人工知能による頚椎後縦靭帯骨化症の自動診断

 

この度、第56会日本脊髄障害医学会学会奨励賞(臨床部門)を受賞いたしましたのでご報告申し上げます。

 

2021年11月18日(木)〜19日(金)に第56回日本脊髄障害医学会が完全web開催で会長の獨協医科大学排泄機能センター 主任教授 山西友典先生のもと開催されました。

 

日本脊髄障害医学会は、整形外科・脳神経外科・脳神経内科・泌尿器科・リハビリテーション科等が合同で、脊髄損傷や脊髄症等の脊髄障害に対して多角的に議論するユニークで伝統ある学会です。私としても、成田赤十字病院に在籍していた整形外科医2年目の2017年に症例発表をした大変思い入れのある学会です。2018年には学会50周年記念誌も発行され、学会の発展の歴史を興味深く拝読させて頂きました。このような伝統ある学会の栄えある賞に選出頂き、大変光栄に存じます。

 

今回の研究は、厚生労働省の難治性疾患政策研究事業 脊柱靭帯骨化症研究班のプロジェクト研究のひとつとして行いました。研究班長の筑波大学整形外科教授の山崎正志先生にご発案いただいた研究となります。本研究の概要は、頚椎単純X線の頚椎後縦靭帯骨化症・頚椎症・正常例の鑑別診断能を、人工知能(AI)と脊椎脊髄外科指導医の間で比較するというものです。協力施設の脊椎脊髄外科指導医の先生方に画像読影を行って頂きました。結果としては、正解率はAIが最高値で、統計学的にもAIは指導医と同等以上の精度で鑑別診断が可能でした。本研究結果が今後の頚椎後縦靭帯骨化症の早期発見・脊髄損傷の発生予防につながることを祈念しております。

 

本研究にご協力いただきました筑波大学、北里大学、東京医科大学の先生方にはこの場をお借りして深く感謝申し上げます。研究およびAIのプログラミングの大部分をご指導いただいた牧聡先生、また、発表の直前までスライドおよび発表のブラッシュアップをしてくださった脊椎脊髄外科班の先生方に心より感謝申し上げます。

 

医療におけるAI研究は今まさに黎明期にあり、今後も様々な分野で研究・臨床応用が進められていくと考えられます。AI技術が更に一般化して広がり、万人が自在に利用できる日が来ることを願っています。今回の受賞を励みに、脊椎脊髄研究の発展に貢献できるように力を尽くしていきたいと思います。この度は誠にありがとうございました。