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AAOS (American Academy of Orthopaedic Surgeons) 2022 Annual Meeting 参加記

更新日 2022.3.30

吉野 謙輔 (H21卒)

 

 2022年3月22日から3月26日にアメリカ・シカゴで開催されたAAOS 2022 Annual Meetingに参加してきましたので、留学の近況も含めてご報告いたします。

 

 AAOSは世界最高峰の整形外科国際学会とされ、関節外科、脊椎外科、スポーツ整形、小児整形、腫瘍、リハなど多岐にわたる演題が口演・ポスター合わせて1800演題以上発表されます。昨年はコロナの影響で夏に現地開催されましたが、今年は例年通り3月に現地開催となりました。今回私は以前行っていた大腿神経のMRI研究がAdult reconstruction hip sessionのポスター発表に採択されたので、国内線飛行機にて参加してまいりました。

 

 アメリカはコロナの感染者数が減少したこともあり(今や週平均で日本の方が多い)、日常でもかなりの制限緩和が進んできております。屋内もマスクは必要なくなり、ついに学校も3月中旬からマスクなしで授業に出られるようになりました。自宅から車で10分ほどの距離にあるJohn Wayne AirportからChicago O’Hare International Airportに向かったのですが、乗客率は往路復路ともほぼ100%、機内はマスク必須でしたが相当な密でした。学会場の感染対策もワクチン3回接種証明の事前オンライン登録程度で、マスクは推奨されていましたが半数以上の参加者はマスクなし、人数もコロナ前の頃とほぼ同等程度まで回復した印象でした。賑わいはかなりなもので、特にHip & Kneeのポスター前はセッション時間中大混雑となり、現時点での日本人的感覚とアメリカ人との違いを実感いたしました。アメリカではもはや克服しつつある認識なのでしょうが、さすがに会場内ではマスクして過ごしました。

 

 演題に関してもこれまで同様、ビッグデータ解析による患者立脚型スコアなどの臨床成績と各種因子との関連を検討したものや、数万例のrevision THA/TKA、Day-surgeryに関するものなど、日本では実施困難な発表がある一方、100例前後の後ろ向きCase Control StudyやRandomized Control Trial、コンピューターシミュレーションを用いた動作解析や有限要素解析を用いた研究、また高齢者のTHA/TKA成績や大転子骨折用プレート併用の成績など、むしろ日本の施設の方が有利ではと思わせるような発表も多く見られました。また機械学習を用いた発表も昨年同様いくつかあり、たまたま自分の隣で発表されていた医学生の先生と少し話したのですが、アメリカではこれから整形外科分野での応用がかなり期待されているらしく、AAOSのような大きな学会で発表して有名病院の先生方と知り合い、レジデントマッチングに有利にしておきたいとのことでした(同様の内容で今年のHip Society Awardも取っていました)。アメリカの先生方の研究に対するモチベーションはこういったところから生み出されているようです。

 

 空いた時間でシカゴのダウンタウンを散策しましたが、歴史ある産業文化都市はアーバインのような新興住宅地とは異なる街並みが随所に見られ、非常に新鮮でした。高層ビルが立ち並ぶ摩天楼は圧巻でしたし、シカゴ美術館やミレニアムパークなどは芸術の街を代表する佇まいが印象的でした。一方で古い街にありがちな薄汚い路地やホームレスの多さも目につき、特に夜は治安の悪さを実感する場面もありました。アーバインの環境の良さを改めて実感したとともに、シカゴに宿泊する際は平均以上のホテルを強くお勧めいたします。

 

 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった大鳥教授、大学在籍中ご指導頂きました中村先生、萩原先生はじめ、関係者の方々に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

 写真1 ポスター前

 

写真2 ウィリス・タワーから見たシカゴの高層ビル群とミシガン湖

 

写真3 シカゴ名物 deep dish pizza