第17回 日本運動器疼痛学会開催報告および最優秀演題賞受賞報告
更新日 2024.12.6
2024年11月29日および30日に御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにおいて、大鳥精司先生が学会長を務められた第17回日本運動器疼痛学会が開催されましたことをご報告いたします。
本学会のテーマは「原点回帰~運動器の痛みをどう捉えるか~」でした。現地ではそのテーマに沿い、運動器疼痛とその治療の根幹に迫るべく、幅広い職種の参加者が基礎から臨床まで熱い議論を交わしました。
特別講演では、衆議院議員の野田佳彦先生より「政治を正さなければ日本はよくならない」と題したご講演をいただきました。また、筑波大学名誉教授の山崎正志先生には「医工連携およびスポーツ医学から展開する運動器疼痛診療」をテーマにご講演いただき、どちらも満員の盛況ぶりでした。
千葉大学の同門の先生方をはじめ、千葉大学からは整形外科以外の先生からも多数の発表がありました。会長講演1題、特別講演1題、スポンサーセミナー2題、シンポジウム5題、最優秀演題賞候補口演2題、一般演題16題、ポスター25題の合計52題が発表されました(詳細は下記参照)。さらに、15名の同門の先生方が座長を務められ、学会全体を支えていただきました。
会長招宴や全員懇親会も大変な盛り上がりの中で終了しました。特に全員懇親会では、学会場から少し離れた場所にもかかわらず、予想の約2倍の参加者が集まり、会場は活気に包まれました。多くの職種の方々との交流が見られ、本学会の成功を象徴するひとときとなりました。
この度の学会を含め、先日の日本腰痛学会も大盛況のうちに終了いたしました。この成功は、ご参加いただいた医局員や同門の先生方のご支援・ご協力のおかげであると深く感じております。また、運営スタッフの多くを医局員が担いながら無事に学会を終えられたことは、千葉大学整形外科の力強さを示すものであり、今後続く主幹学会への大きな弾みとなると確信しております。
改めまして、本学会にご支援を賜りましたすべての医局員・同門の先生方に、心より御礼申し上げます。
末筆ながら、本学会の最優秀演題賞を受賞いたしましたのでご報告いたします。
演題は「固定椎間以外にどの程度のVacuum phenomenonが存在すると、単椎間 TLIF 術後に腰痛は遺残するか」であり、私が2020年に在籍しておりました東千葉メディカルセンターの腰椎変性疾患患者を対象としました研究でございます。大鳥教授が会長を務めます本学会でこのような貴重な賞をいただけましたことを嬉しく思う一方で、主幹であったから受賞した、と言われぬよう今後も臨床・研究ともに精進いたします。改めまして、ご指導いただきました東千葉メディカルセンターの青木保親先生に心より感謝申し上げます。
演題一覧(順不同、敬称略)
・会長講演
慢性腰痛の原因,リスク因子,予防と治療,今後の展望 大鳥 精司(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
・特別講演
医工連携およびスポーツ医学から展開する運動器疼痛診療 山崎 正志(筑波大学医学医療系整形外科)
・シンポジウム
MRIにおける最新技術 坂井 上之(東千葉メディカルセンター 放射線部)
ウェアラブル端末を活用した腰痛患者における日常生活の可視化 井上 雅寛(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
ウェアラブル脳波計を用いた慢性疼痛の新規治療法 清水 啓介(千葉大学未来医療教育研究機構)
産婦人科領域の痛み 甲賀 かをり(千葉大学大学院医学研究院産婦人科学)
総合診療医の視点から迫る慢性疼痛患者への診断アプローチ 鋪野 紀好(千葉大学大学院医学研究院 地域医療教育学/総合診療科)
アプリを用いた健康増進に関する取り組み ~エクササイズアプリ・ロングライフサポート~ 山本 陽平(帝京大学ちば総合医療センター)
・ランチョンセミナー
腰痛をとりまく現状と次世代環境 折田 純久(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
脊椎外科医が行う脊髄刺激療法ーデバイスの改良に伴う適応拡大ー 志賀 康浩(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
・最優秀演題賞候補口演
固定椎間以外にどの程度のVacuum phenomenonが存在すると、単椎間TLIF術後に腰痛は遺残するか 大山 秀平(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
効果的なS1神経根ブロックのための知見:3DCT画像を用いた仙骨構造の解剖学的解析 鈴木 徳孝(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
・一般口演
発育期腰椎分離症の新たなる診断技術MR Bone Imagingの有用性 奥山 晃平(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
画像診断データを用いた深層学習による脊椎骨転移患者における神経症状の発生予測 安成 峻太郎(千葉大学工学部総合工学科医工学コース)
投与前の血液検査結果に基づくロモソズマブ投与後の骨密度増加の予測因子 桑原 晃(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
再発腰椎椎間板ヘルニア患者に対するコンドリアーゼ椎間板内注入療法の有効性 鈴木 徳孝(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
鎮痛目的に年間40億枚処方される外用湿布薬の処方枚数制限の効果 ーNDBを用いた解析ー 阿部 幸喜(千葉大学医学部附属病院次世代医療構想センター)
ロコモ度分析によるリハビリアプローチを見直す試み -ロコモ25に着目して- 西部 涼祐(整形外科センター西能クリニック診療部リハビリテーション科)
椎体骨折の体験 症状と鎮痛効果に関する考察 高橋 弦(山王整形クリニック)
変形性股関節症の疼痛機序における神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛の関与と腰部脊柱管狭窄症有病率のスクリーニング:横断研究 宮本 周一(東京医科大学茨城医療センター整形外科)
成人脊柱変形術後のイレウス発症と後横隔膜腔の関連の解析 大山 秀平(聖隷佐倉市民病院・整形外科)
若年層に対するヘルニコア注入療法は有効か?青壮年期との治療効果の比較 茂手木 皓介(西能病院)
Expandable cageは腰椎後方椎体固定術後cage脱転ゼロをもたらす 西能 健(西能病院整形外科)
硬膜外腫瘍の存在は転移性脊椎腫瘍患者の急性麻痺発症リスクである 大山 秀平(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
転移性脊椎腫瘍患者における硬膜外腫瘍の疫学と単純CTでの同定率 大山 秀平(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
腰部脊柱管狭窄症による自覚症状と温度不均衡の関係に関する検討 竹生 浩人(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
外科医の腰部負荷軽減を目指した可変型コルセットの開発と力学的検証 柿原 隆史(千葉大学大学院融合理工学府基幹工学専攻医工学コース)
肥満の腰椎椎間板ヘルニア患者における術後成績の検討 佐藤 雅(東千葉メディカルセンター 整形外科)
・ショートトーク
訴訟や裁判に関わる慢性疼痛患者の難治化予測バイオマーカーとしての脳波複雑性の有用性 清水 啓介(千葉大学未来医療教育研究機構)
緊張性頭痛と支持的心理療法 納橋 優奈(横浜市立大学附属病院麻酔科・ペインクリニック内科)
慢性疼痛診療における「難しい患者」と医師のバーンアウト症候群 吉武 美紀(千葉大学医学部附属病院痛みセンター)
腰痛は慢性化しやすいのか? なぜ慢性腰痛では心理的要因がめだつのか? 高橋 弦(山王整形クリニック)
難治性上腕骨外側上顆炎に対する集束型体外衝撃波療法の成績 山田 有徳(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
終板貫通スクリューを用いた後方固定で良好な経過を経たDISH非強直部に生じた化膿性脊椎炎 藤本 和輝(国立国際医療研究センター国府台病院整形外科)
疼痛部位別に見た足底腱膜炎における集束型体外衝撃波治療の効果比較 志村 和樹(西能クリニックリハビリテーション科)
腰椎椎体骨折による下肢神経根症に対してVertebral Body Stenting System(VBS)は有効である 青木 雅人(西能病院整形外科)
脊椎後弯症患者における口腔機能低下と骨粗鬆症、筋量、疼痛との関連 大山 秀平(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
脊椎狭窄疾患における硬膜管拍動解析に関する基礎的研究 坂東 和真(千葉大学大学院融合理工学府基幹工学専攻医工学コース)
脊椎狭窄疾患に対する硬膜管拍動解析のための超音波スペックルトラッキング技術の開発 門田 大輝(千葉大学大学院融合理工学府基幹工学専攻医工学コース)
起居動作の痛みと座位/臥位単純X線撮影は新鮮圧迫骨折の診断に有用である 石川 哲大(さんむ医療センター)
機械学習を用いた受傷早期における大腿骨近位部骨折患者の機能予後予測モデルの開発 田中 偉聖(千葉大学工学部総合工学科医工学コース)
MRI T2 mappingを用いた腰椎変性疾患における体幹筋評価:術後臨床成績,CT画像,体組成との関連 鈴木 徳孝(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
肺癌脊椎転移のPET-CT(SUV値)による病的骨折の予測について 武田 昂典(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
メガネ型ウェアラブル端末で測定した活動量の有用性 井上 雅寛(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
日常診療におけるNSAIDsの使用状況と腎機能との関連調査 井上 雅寛(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
当院におけるミロガバリン、プレガバリンの処方状況と腎機能障害との関連調査 井上 雅寛(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
腎移植後患者の脊椎手術の成績について 下山 稔人(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
授乳期の慢性腰痛患者に対しL2神経根ブロック(L2RB)および腰部脊柱起立筋面ブロック(ESPB)を施行した一例 八本 直季(千葉県立佐原病院)
腰椎疾患術後急性期のノルディックウォーキング導入の検討 田中 輝(西能病院/整形外科センター西能クリニック リハビリテーション科)
ラット膝OAモデルでのDiclofenac Etalhyaluronate Sodium関節内投与はヒアルロン酸に比し炎症性疼痛抑制と関節保護効果を持つ 渡慶次 壮一郎(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
ラット急性アキレス腱炎モデルでの体外衝撃波療法・多血小板療法併用による相乗的治療効果の検証 寺川 文英(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
非骨傷性頚髄損傷ラットモデルの神経障害性疼痛に対するミロガバリンの治療効果に関する検討 土岐 恭範(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
Chronic Constriction Injury(CCI)モデルに対する除圧術後のT細胞の変化に関する検討 向井 務晃(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)