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AAOS (American Academy of Orthopaedic Surgeons) 2021 Annual Meeting 参加

更新日 2021.9.13

 

                  吉野 謙輔 (H21卒)

 

 2021年8月31日から9月3日にアメリカ・サンディエゴで開催されたAAOS 2021 Annual Meetingに参加してきましたのでご報告いたします。

 AAOSは世界最高峰の整形外科国際学会とされ、関節外科、脊椎外科、スポーツ整形、小児整形、腫瘍、リハなど多岐にわたる演題が口演・ポスター合わせて1800演題以上発表されます。例年3月に開催されていましたが2020年はコロナで直前にオンライン開催となり、本年は時期を夏にずらして現地開催となりました。今回私は大学在籍中に行っていた大腿神経麻痺の研究がAdult reconstruction hip sessionのポスター発表に2演題採択され、留学先のアーバインから車で2時間弱かけて参加して参りました。

 

 コロナ渦での現地開催予定でしたので、最後まで本当に決行されるのか不安視していましたが、結果的には以前と大差なく行われておりました。感染対策として、事前にワクチン接種の証明をオンライン上で行い、発行されたQRコードを会場に入る際に提示することと、会場内でのマスク着用が必須でしたが、検温も特になく会場内では飲食可能、時間制限あったもののフリードリンクも飲めました。参加者は前回参加時(2019年3月)と比べると主観ですが半数程度、会場規模は例年通りでエキシビションホール、講演会場、ポスター会場いずれも密になるような心配はなく、名札見る限りほぼ全員が米国国内在籍者でした。欠演もところどころありましたが全体的な内容の高さは相変わらず、ゆとりある人数の中時間の許す限り発表が見られて有意義でした。

 

 Hip & Kneeに関しての演題のトレンドですが、(1) 患者満足度に代表される患者立脚型スコアとアプローチ、外来手術、肥満や精神疾患といった医療介入・並存疾患との関連、(2) 矢状面での脊椎・骨盤アライメントの継時的、生活動作などでの変化、(3) 感染、脱臼、骨折、深部静脈血栓症などの合併症対策に関する研究、(4) 機械学習を用いたインプラント設置位置評価、合併症や臨床成績の予測、といったあたりが多い印象でした。ロボティック手術の正確性や臨床成績などの発表はあまりなく、米国ではもはや議論の話題にならないほど認知され普及してきているのでしょう。そしてこれだけテクノロジーが発展した現代の人工関節領域でも感染や脱臼の問題が依然として大きいことも痛感しました。我々が国際的な舞台で存在感を示すには上記内容に関する研究をすることが効果的と思います。

 

 今回は残念ながらコロナ渦で私単独での参加となりましたが、在米中に渡航制限が緩和された暁には多くの同門の先生方とお会いできればと考えております。来年以降も演題採択されるよう努力していきたい次第です。

 

 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった大鳥教授、大学在籍中当該研究をご指導頂きました中村先生、萩原先生はじめ、関係者の方々に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

写真1 学会モニュメント
写真2 ポスターと筆者
写真3 エキシビジョンホール内の様子