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第28回千葉県理学療法士学会最優秀演題賞受賞報告

更新日 2023.3.6

千葉大学医学部附属病院 リハビリテーション部 理学療法士
深田亮

 2023年3月5日に第28回千葉県理学療法士学会が城西国際大学で大会長の亀田リハビリテーション病院 松田徹先生先生のもと開催されました。本会において発表した「初期頚髄症患者における脊髄後索機能の有病率とロンベルグ徴候との関連性」が最優秀演題賞を受賞致しましたのでご報告させていただきます。

 

 本研究は脊髄後索が位置覚と振動覚および識別覚に機能分類されること、脊髄後索の異常によって引き起こされるロンベルグ徴候に着目しました。臨床現場ではこれらの機能障害およびロンベルグ徴候が解離していることを経験するため、初期頚髄症患者を対象に脊髄後索機能の評価を実施し、位置覚と振動覚および識別覚障害の有病率の比較とロンベルグ徴候との関連性を調査しました

 結果として、脊髄後索のなかでも位置覚と振動覚および識別覚は障害される病期に解離があり、機能的層構造があることが明らかになりました(位置覚(0%) < 識別覚(17%) < 振動覚(41%))。また、薄束中間層の障害が免れた場合、ロンベルグ徴候は出現しない可能性が示唆されました。よって、リハビリテーションを実施するうえで後索機能を機能別に評価する必要があることが明らかになりました。

 

 今回の受賞に関して多大なるご助言、ご指導頂きました古矢丈雄先生、大鳥精司教授、さらに千葉大学頚椎グループの先生方、リハビリテーション部の整形理学療法メンバーにこの場をお借りして深く御礼申し上げます。