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ISSLS 2023 Special Poster / Bio Spine発表体験記

更新日 2023.5.7

奈良県立医科大学医学部医学科 2年 
上田玲央斗

この度,5/1~5/5にメルボルンで開催されたSpine Week 2023にて,ISSLSのSpecial ePosterとBiospineのOralの2学会で,フロンティア医工学センター折田純久教授のご指導のもと,整形外科手術におけるAIナビゲーションに関する演題「Establishment of an intraoperative assisted endoscopic common iliac vein segmentation model and object detection model for intraoperative support of OLIF51(Oblique Lateral Lumbar Interbody Fusion 51) (低侵襲腰仙椎前方固定術(OLIF51)支援を目的とした内視鏡下総腸骨静脈物体検出モデルの確立)」を発表させていただきましたのでご報告いたします.

 

私は2022年度末まで千葉大学大学院融合理工学府医工学コースに在籍し,折田教授の研究室にて整形外科ナビゲーションおよび診断に対するAIの応用研究に従事して参りました.本研究は千葉大学工学部生の頃に折田教授に卒業研究として提案されたもので,整形外科領域のナビゲーションシステムとAIの融合の先駆けとなる研究です.具体的には,OLIF51において,腰仙椎間へアプローチする際に位置する総腸骨静脈を,術中補助内視鏡を経てAIモデルにより二次元でdetectする研究です.

 

Spine Week 2023への演題自体は千葉大学大学院在籍の頃にsubmitしましたが,2023年度からは奈良県立医科大学医学部に編入したため,今回の演題は医学生として発表いたしました.医学部入学式を終えてすぐに始まった長時間の講義と実習の中での発表準備や飛行機,宿の予約など,知らないことを多く経験する多忙な4月となりました.

 

これまで私は整形外科学会基礎学術集会(2021年第36回,2022年第37回)をはじめとした国内学会で何度か発表して参りましたが,国際学会の発表は今回が初めてのため,英語でのプレゼンももちろん初めてでございました.質疑応答についても十分に自分の考えを表現できず英語力の無さを痛感することとなり悔しい思いもしましたが,学生の時点でこのような貴重な経験ができてよかったとも考えております.今後は医学英語や英会話も中心に勉強し,国際的にも活躍できる整形外科医を目指して研鑽に励みたいと強く考えております.

 

1~2か月前までは工学生として研究に従事して参りましたが,4月より環境ががらりと変わり,医学生として解剖実習を通してマクロの人体構造を学んだ現在,本演題に対する見方も徐々に変わってきたと感じております.また,本学会で,工学部生の頃には想定に至らなかった質問もいただき,やはり臨床の現場に自分で立たないと出ないような研究のヒントがあることも再確認いたしました.折田教授が仰っていたように,医学と工学の両視点を兼ね備えた人材こそがスムースな医工連携に必要だということが,講義を通して少しずつ理解できている気がします.次回のSpine Weekもご縁があれば参加させていただきたく存じますので,リベンジできれば幸いです.

 

最後になりますが,本研究でご指導いただきました折田教授,アドバイスをくださった研究室メンバー,そして大鳥精司教授や牧聡先生,稲毛一秀先生,井上雅寛先生をはじめ実臨床の知見に基づく貴重なご意見をくださった整形外科医の関係者の先生方,誠にありがとうございました.
今後ともご指導ご鞭撻のほど,何卒よろしくお願い申し上げます.