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舞台医学セミナー2025 開催報告

更新日 2026.3.19

平成19年卒 金塚 彩

2025年8月30日、東京医科大学病院にて「舞台医学セミナー2025」(https://tmuortho.net/news/20250830-stage-medicine/)が開催されましたので、ご報告申し上げます。

 

本セミナーは「舞台芸術の医学的サポートを志す君たちへ」をテーマに、医学生・研修医を主な対象として企画され、舞台医学、パフォーミングアーツ医学(Performing Arts Medicine:PAM)に関心を持つ医学生および若手医療者が多数参加しました。当日は、舞台芸術に関わる医療の最前線で活躍する医師による講演が行われ、ダンサーや音楽家を対象とした診療の実際やその意義について、活発な議論が交わされました。

 

新入局員の竹内 遼弥先生は、現在も演奏活動を継続するバイオリン・ビオラ奏者であり、診察風景再現のロールプレイにおいて演奏家患者として参加していただき、重要な役割を担っていただきました。

 

私からは、まず「好きなことを仕事にする?音楽家の手を診るとは」と題し、音楽家の上肢障害に対する診療の実際、Performing Arts Medicineの概念、海外における教育・診療体制について紹介いたしました。音楽家診療においては、整形外科・手外科の基本的診療に加え、演奏に関する詳細な問診(Performance profile)や演奏動作の観察といったPAM特有の評価が役立つことをお話ししました。

 

続く「舞台医学の診療の実際」のセッションでは、実際の症例をもとに手外科×PAM診療プロセスを段階的かつ具体的に提示いたしました。具体的には、重度手根管症候群に対する手術(手根管開放術+対立再建術)前後のパフォーマンス変化や、若年バイオリン奏者におけるMisuse症候群の症例を提示しました。これらの症例を通じて、標準的な手外科診察に加え、PAM特有の問診(Performance profile)、演奏時症状の定量評価(NRS、Quick DASH芸術スコア)、演奏動作の観察によるパフォーマンス評価、さらに楽器を用いたリハビリテーションの考え方について解説いたしました。

 

特に、「検査では異常が認められないにもかかわらず演奏に支障をきたす」症例に対し、Performance profileに基づいて診断・治療に至るプロセスは、PAMならではの専門的診療として、医学生・研修医にとって大きな関心を集めていました。

 

本セミナーを通じて、自身の興味やバックグラウンド(音楽・ダンス経験など)が臨床に活かし得る分野であるという点も、医学生や若手医療者にとって魅力的に伝わったものと感じております。

 

最後に、本セミナーの開催にご尽力いただきました東京医科大学整形外科学分野 准教授 立岩俊之先生、永井太朗先生をはじめ、医局員の先生方ならびに関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。特に立岩先生におかれましては、東京医科大学医局員ではない私にこのような貴重な機会を賜り、医局の枠を超えたご高配に深く感謝申し上げます。

 

また、ダンス医学に精通されている国立病院機構埼玉病院整形外科の竹島憲一郎先生、東京科学大学の片倉麻衣先生との交流も大変有意義であり、今後も舞台医学、PAMをともに発展させていければと存じます。さらに、不在中にご支援いただきました手外科グループならびに臨床試験部TRADチームの皆様にも、改めて御礼申し上げます。

  • 1竹島先生、片倉先生、岩立先生と
  • 2ビオラ奏者の患者役として登壇していただいた竹内先生
  • 3演奏障害を再現する竹内先生
  • 4音楽部の後輩である竹内先生と医学生の岩尾君
  • 5亀澤マキコ先生を含む若手メンバーと