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第1回日本スポーツ整形外科学会2023 ベストポスター賞受賞報告

更新日 2023.7.27

聖隷佐倉市民病院 
伊勢昇平

この度、2023年6月29日~7月1日にリーガロイヤルホテル広島・広島県立総合体育館で開催された第1回日本スポーツ整形外科学会で発表しました「難治性外側上顆炎の心因性要素と臨床スコアおよび疼痛との関連性」がベストポスター賞を受賞しましたのでご報告いたします。

 

本研究は千葉大学体外衝撃波外来におけるデータをまとめたものとなります。難治性外側上顆炎の患者さんに対して当院では体外衝撃波外来において収束型衝撃波や拡散型圧力波による治療を行い良好な成績を報告してきましたが、体外衝撃波への反応が不良である例を少なからず経験してまいりました。そこで落合信靖先生より難治性疼痛における心因性要素の検討をテーマとして与えていただき、千葉メディカルセンター初期研修医時代の同期であり現千葉大学精神科の田村真樹先生に相談させていただき、スコアをとりはじめたのが本研究です。

 

近年、難治性疼痛に対して心因性要素として破局的思考の関与が報告されております。本研究ではPain Catastrophizing Scaleという破局的思考を評価するスコアと初診時の臨床所見・スコアを比較検討することで、慢性外側上顆炎のうち、破局的思考がある患者では臨床スコアが不良で、圧痛・動作時痛が遷延していることが明らかとなりました。また、これまでも同スコアと体外衝撃波療法の治療反応性に相関関係があることを示しており、こちらについては現在英語論文化を目指しているところです。本研究が慢性外側上顆炎の治療の一助となりますよう今後も研究を進めてまいります。

 

最後になりましたが、日頃よりご指導いただいております大鳥精司教授、落合信靖先生、橋本瑛子先生、ならびに千葉大学肩グループ先生方、聖隷佐倉市民病院先生方に厚く御礼を申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻の程何卒よろしくお願い申し上げます。