JSSH–TSSH Traveling Fellow 参加報告記
更新日 2026.5.18
このたび、日本手外科学会(JSSH)および台湾手外科学会(TSSH)のご支援により、JSSH–TSSH Traveling Fellowとして台湾を訪問する貴重な機会をいただきました。2026年5月10日に台湾へ到着し、5月11日から12日に国立台湾大学病院(National Taiwan University Hospital: NTUH)、5月13日から15日に林口長庚紀念醫院(Chang Gung Memorial Hospital, Linkou: CGMH)を中心に施設見学を行い、5月16日から17日に開催されたTSSH Annual Meetingに参加させていただきました。手外科診療、マイクロサージャリー、手関節鏡、末梢神経治療、ならびに研究に関する多くの学びを得るとともに、台湾、韓国、シンガポール、香港の先生方との交流を通じて、国際的な手外科コミュニティの温かさと重要性を強く実感いたしました。
NTUHでの研修
前半は台北市内のNTUHを訪問しました。初日は、Rex先生(Dr. Yun-Liang Chang)をはじめとする先生方に温かく迎えていただきました。(写真1)病院ツアーから始まり、昼食は台湾で最も有名な小籠包のお店である鼎泰豊(ディンタイフォン)に連れて行っていただきました。台湾大学医学人文博物館、迪化街(ディーホアジエ)、寧夏夜市(ニンシアイエシー)、Dadaocheng Wharf / Pier 5(大稲埕碼頭)など市内観光に案内していただきました。2日目は、朝に千葉大学のMRI FRACTURE sequenseの研究について発表させていただく機会があり、台湾の先生方にも大変興味を持っていただけました。(写真2)その後、Rex先生の手関節鏡の手術を見学させていただきました。非常に手際が良く美しい所作に感銘を受けました。ガングリオン切除では、切除範囲をかなりこだわっており、大変参考になりました。TFCCの再建では当院とは異なる方法で再建を行っており、使えるインプラントの違いや道具の違いがあるなかでいろいろな方法があることを学ぶことができました。先生方は非常に親切に接してくださり、臨床上の質問や日本での治療方針との違いについて積極的に話すことができました。昼食や夜市への案内も含め、診療だけでなく台湾の文化や生活にも触れる機会をいただいたことは、今回のフェローシップをより豊かな経験にしてくれました。(写真3)
CGMHでの研修
後半は林口のCGMHを訪問しました。CGMHはマイクロサージャリーおよび再接着、再建外科において世界的に著名な施設であり、手術室の規模、症例数、スタッフの層の厚さに圧倒されました。手術室は初見の私たちには迷路でした。(写真4)2日間の手術見学、1日の外来見学というスケジュールでした。
手術見学では、舟状骨偽関節に対する血管柄付き骨移植、皮弁による軟部組織再建といったマイクロサージャリーの高い技術に触れることができました。また、レイノー現象に対する交感神経切除術という初めて見る手術もあり大変勉強になりました。外来見学では、Yu-Te Lin先生の外来を1日見学させていただきました。(写真5)9時から12時までの予約枠に40人以上の患者がおり、その7割が新患という非常に密度の高い外来でした。Lin先生の治療方針や方針決定のポイントなどを伺うことができて、非常に有意義な時間となりました。とても印象的だったのは、先生は大変丁寧な診察で、患者さん一人ひとりと良くお話されていたことと、看護師さん含め賑やかな雰囲気だったことでした。
CGMHでは多くの海外フェロー、見学者がおり、国際色が豊かでした。日本からも東大の形成外科の日高先生がフェローとして研修されており、CGMHのフェローについても伺うことができました。(写真6)
TSSH Annual Meeting
5月16日から17日にかけて、林口長庚紀念醫院にてTSSH Annual Meetingに参加しました。会場は比較的コンパクトでありながら、台湾国内外の手外科医が密に交流できる温かい雰囲気でした。日本からはベルランド総合病院の村瀬剛先生が招待講演されておりました。(写真7)他にも来年のAPFSSH開催国の韓国からJae Won Yang先生、手関節鏡で世界的に有名な香港のPak Cheong Ho先生、シンガポールからWee Lam Leong先生、そして、TSSHのプレジデントであるChung-Chen Hsu先生といった名だたる先生方の講演を拝聴し勉強できたことは明日からの診療に大変役立つ経験となりました。自身の発表は、「Dorsiflexion Cast Prevents Displacement of Colles’ Fracture - A Finite Element Analysis Study -」という題名で、橈骨遠位端骨折に対するギプス固定肢位の違いが骨片転位および骨折部の主ひずみに与える影響について、有限要素解析を用いた検討を報告しました。背屈位ギプスについて興味を持っていただくことができました。(写真8)
最後に、このような貴重な機会を与えてくださった日本手外科学会の皆様、台湾手外科学会の皆様、大鳥精司教授、松浦佑介先生を始めとする千葉大学整形外科の先生方に深く御礼申し上げます。また、色々とサポートいただいた葉佐俊先生にもこの場を借りて御礼申し上げます。今回の経験を今後の手外科診療、研究、教育、そして国際交流に必ず還元していきたいと思います。
写真1
右からHsuan- Yu Chen先生、昭和大学の新妻学先生、KSSHからのTravelling fellowのJoonha Lee先生、NTUH整形外科教授Chin-Hao Chang先生、山崎、NTUH手外科チーフのYun-Liang Chang先生










