Seminar/Column

セミナー/コラム

千葉大学附属小中学校での運動器検診活動報告①

更新日 2022.5.3

東千葉メディカルセンター 整形外科
平成24年卒 堀井 真人

 子どもたちの運動器疾患・障害の早期発見を目的に平成28年より学校運動器検診が義務化されました。一般的な検診方法は、腰痛と四肢機能障害の有無に関する質問が記載された検診調査票を各家庭で記入し、学校医が判定を行う形式です。これに対し我々は、小中学校へ整形外科医師が訪問し、子どもたちを直接診察する形式で検診を行ってきました。スポーツグループスタッフをはじめフレッシュマン先生にもご協力いただき、毎年2日間で1000名以上、開始から延べ6000人近くの子どもたちを直接検診して参りました。この場を借りてご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。この検診活動を通じて得られた知見を何回かに分けてご報告させていただきます。

 

 

 10歳から15歳の成長期では、特にスポーツをよくやっている子どもたちに膝痛が多く発生します。こうしたスポーツ障害の原因には体格、柔軟性の低下、過度な運動、扁平足など様々な原因が指摘されていますが、特定の原因はわかっておりません。日常診療では、「安静にしておきましょう」、「リハビリしてみましょう」と提案することが多いものの、その妥当性がはっきりしない状況です。我々は運動器検診で、子どもたちの身体的特徴を調査し膝痛との関連を調査しました。

 

 

 足の形態的特徴を数値で表す評価方法にFoot Posture Index-6があります。これは足の外観を-12点から+12点で表記し、得点が高い場合、足の形態は扁平足と評価します。小学3年生から中学3年生を対象に足の形態を調査した結果、わずかに外観は外反扁平足であることが分かりました。また、膝痛との関連を調査した結果、足の形態と膝痛に明らかな関連は認めませんでした。この結果を纏めたものは英文雑誌に採択されました(Horii M, Ryuichiro A, Yuya O et al. Journal of Orthopaedic Science 2021)。また、関節の弛緩性を数値で表す評価方法にBeighton Indexがあり、得点が高いと関節弛緩性ありと評価します。同様に膝痛との関連を調査した結果、明らかな関連は認めませんでした。

 

 

次回、運動の程度や柔軟性など膝痛との関連に関する研究報告やコロナ禍での実態についてご報告させていただきます。小児期の運動器の健康につきましてご興味、ご感想等あります先生がいらっしゃいましたら是非お知らせください。どうぞ宜しくお願い申し上げます。